テクテキスタイル2017/日本の技術開発力示す/新素材 数多く披露

2017年05月11日 (木曜日)

 世界最大の産業用繊維・不織布の国際見本市である「テクテキスタイル2017」が9日、ドイツのフランクフルト国際見本市会場で開幕した。産業用繊維・不織布に力を入れる日本企業は欧州子会社も含めて17社・グループが出展。欧州はもちろん、世界各国から訪れる来場者に日本製ならではの新開発品も提案し、注目されている。会期は12日まで。

(フランクフルト=西田貴夫)

 同展は2年に1度の開催で、全世界から産業用繊維・不織布の関連企業が一堂に集まる。今回のテクテキスタイルは、過去4回連続の旭化成、3回連続の小松精練、平岡織染(東京都台東区)がそれぞれ出展を取りやめたが、ハッソー(東京都品川区)、妙中パイル織物(和歌山県橋本市)が初参加するなど少し顔触れは変わった。しかし、日本企業のブースは初日から来場者であふれ、日本の産業用繊維・不織布に対する関心の高さを改めて示す形となった。

 今回展では日本企業の新素材が数多く見られたのが特徴的。その一つが東レが先頃発表した高強力ポリアリレート繊維「シベラス」だ。同展が初披露の場となる。

 同繊維は世界で唯一、クラレが「ベクトラン」の商標で生産販売してきただけに注目が高いのも当然。東レによると、ベクトランに比べて引っ張り強度が高いほか、ポリマーからの一貫生産によるコスト競争力、同社得意の高次加工を生かした加工品開発――などが特徴という。船舶用ホーサー(係留索)を製品出品しており、さらに同展を通じて新用途を探索したいと考える。さらに新技術による海島型ポリエステル・ナイロン複合のモノフィラメントも注目された。

 三菱ケミカルは0・1デシテックスのアクリル短繊維を新提案した。ショートカットファイバー「ボンネルM・V・P」の技術を応用したロングファイバーだ。超極細による吸音性の高さをアピールする。カネカは生分解性ポリマー「PHBH」を使った繊維を初披露。同繊維は酸素がない状態や水中でも分解するなど、ポリ乳酸とは異なる物性を持つ。同展を通じて反応を探りたいとする。

 一方、不織布については、帝人グループでは帝人フロンティアの3次元立体不織布「DECOLAY」も注目された。通常、エンボス加工などで凹凸感を出すが、同不織布はエアレイド製法によるもの。しかも密度は変わらない。

 クラレでは、不織布製造子会社のクラレクラフレックスがPBTを原料にしたメルトブロー不織布を披露した。自動車のエンジンルーム用吸音材として日本で採用されているが、同展を通じて欧州の自動車用のほか、建築、家電分野の開拓につなげたいとの意向。

 従来以上に日本企業の新素材や新不織布の出品が目立ったテクテキスタイル2017。もちろん、同分野はビジネスにすぐつながるわけではないが、日本の技術開発力の高さを示したのは間違いない。

 同見本市会場では、縫製機器と加工技術の国際見本市「テックスプロセス」も開催されている。