三菱ケミカル 繊維素材事業部/新商流対応・開発で勝負/3社統合のシナジーも追求
2017年05月10日 (水曜日)
三菱ケミカルの高機能成形材料部門繊維本部繊維素材事業部はアクリル、トリアセテート、ポリプロピレン・溶融繊維それぞれで新商流への対応と開発の強化で業容の拡大を目指す。繊維素材事業部長である河﨑隆雄執行役員は「用途開拓と商品開発で勝負する」と強調。三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨンの3社統合によって発足した企業背景も生かし、シナジー追求も目指す。
河﨑執行役員は主力のアクリル短繊維に関し、アンチダンピング(AD)関税措置の影響も含めて「中国向けの回復は今年も見込めない。新商流に対応したストーリー性のある機能素材を拡販するしかない」と強調する。昨年度から既に“脱・中国”“脱・フェークファー用途”に取り組み、インナー、アウター、インテリア、資材といった用途での拡販を進めた。こうした取り組みを継続し、「資材分野を含めて地道に用途開拓に取り組む」。中国向けに関してはAD関税措置への対策として再輸出向けに紡績糸で販売する方法も模索しているもよう。
トリアセテート繊維は既存アパレルの不振など婦人服地用途で流通構造の変化が著しいことからチョップ品を含めてネット通販アパレル向けの強化など流通構造の変化への対応を強める。米国、中国、欧州などへの輸出にも力を入れるほか、「婦人服地以外のアスレチックやユニフォーム用途の開拓も進める。そのためにも北陸産地との取り組みが重要」との考えを強調する。
ポリプロピレン長繊維など溶融繊維はカーペットのほか、建材や自動車など資材分野で新規用途の開拓を進める。3社統合で三菱ケミカルが発足したことで繊維本部繊維素材事業部が属する高機能成形材料部門には繊維以外にも自動車向けの素材や部材の取り扱いが多い。「部門内でのつながりを生かし、シナジーを追求する」と話す。
三菱ケミカルの繊維事業は乾式、湿式、溶融という異なる紡糸方式の技術を持つ。これに三菱ケミカルとして保有する材料の技術を融合させることで「新たな材料を繊維分野で活用することもあり得る」と指摘。こうした面でも3社統合のシナジー発揮を目指す。