世界最大の産資不織布展/テクテキスタイル2017/日系企業、腕の見せ所/産資・不織布強化の中で

2017年04月21日 (金曜日)

 「テクテキスタイル2017」が5月9~12日、ドイツ・フランクフルトで開催される。同展は世界最大の産業用繊維・不織布見本市であり、同分野に力を入れる日本企業は欧州子会社も含めて数多く出展する。これまで4回連続の旭化成、3回連続の平岡織染(東京都台東区)、小松精練が出展を取りやめたが、ハッソー(東京都品川区)、妙中パイル織物(和歌山県橋本市)の初出展組をはじめ、16社・グループが出展する。日本の繊維産業は産業用繊維・不織布への傾斜が顕著なだけに、世界最大の見本市で、どのような評価を得られるのか。出展各社の腕の見せ所。合繊メーカーを中心に見どころを探る。

 東レは「耐久」「防炎・難燃」「高機能不織布」「特殊モノフィラメント」の4カテゴリーで産業用高機能繊維を提案する。特に遮炎ペーパー「ガルフェン」、ナノファイバー不織布、海島型のポリエステル・ナイロン複合モノフィラメントが見どころ。欧米販売はエアバッグ基布を除くと大きくないだけに、同展を通じて欧米での用途開拓、新規顧客獲得につなげたいと考える。

 帝人はオランダのアラミド繊維製造子会社、テイジン・アラミドによるパラ系アラミド繊維を中心に帝人フロンティアに移管した特殊ポリエステル繊維と同製品により幅広いソリューションを提案する。特に、高い染色性を有するメタ系アラミド繊維「テイジンコーネックス ネオ」やポリエステルナノファイバー「ナノフロント」による製品、高機能クッション材「エルク」などが見どころ。アラミド繊維は17年4月からグループ一体運営をスタートしており、グローバル販売体制を一層強化し、さらなる拡販を目指す。

 クラレは来場者と対話しながらさまざまな問題解決、ニーズへの対応を図る考え。高強力タイプと水溶性タイプをそろえるPVA繊維「クラロンK―Ⅱ」のほか、高強力ポリアリレート繊維「ベクトラン」、難燃性に加え、低発煙性が特徴のポリエーテルイミド繊維「クラキス」を提案する。

 東洋紡は安全性と快適性を追求する用途に機能繊維を提案する。世界最高水準の強度、弾性率、耐熱性、難燃性を持つ「ザイロン」、溶融紡糸による高強力ポリエチレン繊維「ツヌーガ」など。ツヌーガは昨年度末に生産能力を増強した。

 三菱ケミカルは超極細アクリル短繊維などを出品する。同繊維はアクリル短繊維「ボンネル」の0・1デシテックスタイプで、消音性、吸音性に優れる点を生かし吸音材用不織布としても訴求する。

 カネカはモダクリル繊維「プロテックス」をメインにしながら、生分解性ポリマー「カネカ バイオポリマー PHBH」を使った繊維を参考出品する。

 PHBHは植物油脂を主原料とするポリエステル系のバイオポリマー。生分解性のほか、耐熱性、耐加水分解性、水蒸気バリア性、軟質性、耐熱性などの特徴を持ち、ポリエチレンやポリプロピレンに類似した物性を持つ。

 アキレスはこれまでの高透明・高品質の塩ビフィルムに加え、耐スクラッチ性を持つ製品を開発した。ロール状での提供も可能だ。耐スクラッチ性を持つ競合品はシート状のため、加工性が良くなく、ロスも多いという。

 無機繊維などの加工品を製造販売する日本グラスファイバー工業(愛知県江南市)はロービング(ガラス繊維のフィラメントを集束し、引きそろえて円筒状にしたもの)使いの成型品などを出品する。同成型品はフェノール樹脂などを使用しないため環境に優しく、自動車マフラー向けなどに提案する。