紡績の素材開発最前線(4)/クラボウ/進化するストレッチ素材

2017年04月20日 (木曜日)

 ファッションから実用衣料分野まで、もはや当たり前の機能になっているのがストレッチ。こうしたニーズに応え、クラボウはストレッチ素材の進化に取り組んでいる。ユニフォームなど特に高い物性が必要な用途にも耐えうるストレッチ素材の開発が加速した。

 近年、ワーキングユニフォームでもショップ販売向けを中心にパターンのタイト化などファッション化が加速した。こうした流れはカタログ定番品や企業別注にまで波及している。タイトなデザインなどを実現するためにはストレッチ素材は欠かせない。着心地の面からも、ストレッチ素材へのニーズは一段と高まる。

 一方、ユニフォームはハードな使用への耐久性、工業洗濯も含めた洗濯耐久性とそのための耐熱性、耐薬品性などが必要になる。こうした物性をストレッチ素材でも実現することが重要になる。こうした観点から開発に取り組んでいるのがクラボウ。ユニフォームにも最適化したストレッチ素材の開発に取り組んでいる。

 プレミアムストレッチ素材として開発したのが「ジザイア」。通常のストレッチ素材は一般的に使用する弾性糸の物性の関係上、どうしても耐久性が劣る。これに対してジザイアは洗濯30回後でも機能を維持する高い耐久性が特徴。このほか、ユニフォーム用途はコスト競争力や汎用性も必要なことから、定番素材の延長線上で使うことのできるストレッチ素材として「バンジーテック」も打ち出す。

 クラボウは元々、カジュアル素材を得意とするため、ストレッチを含めたファッション性の高い素材開発にノウハウがあるのが強み。さらにストレッチ機能を他の素材にも応用することでバリエーションの拡充を進めている。

 例えばデニム調素材「デニムニ」や織物と編み物の特徴を併せ持つ「オリアミクス」との融合を進める。さらに防炎素材「ブレバノ」へのストレッチ機能付与の開発にも取り組む。防炎・難燃性を確保するためには原料にさまざまな制限が課せられるが、それをクリアすることで、より幅広い領域でのストレッチ素材提案を可能にすることを目指している。