特集 カーペット(3)/カーペットメーカー/大型設備投資も
2017年04月19日 (水曜日)
〈オーノ/原材料値上げ転嫁テーマ〉
オーノは2016年12月期、増収増益で着地した。
ダストコントロールマットやホテル別注が堅調だったほか、中国2生産拠点を活用したカーマットが復調、ロールカーペットも製造卸の見本帳への採用が進んだ。
今期は「原材料の値上げへの対応」をテーマに掲げ、販売先へのコスト転嫁を図る。同社では「5~6年前から量を追わず」に、採算重視のビジネスを推し進めている。
そのため、6色使いの多色柄を表現できるタフト機「OMT(オーノ・ミラクル・タフター)」、国内で1台しかなくカットとループが別々の機構でウィルトンカーペットに近い粒感を表現できる「ベルバー」、中国製のハンドタフテッドカーペット(ハンタフ)など多様なモノ作りで差別化へつなげている。
〈トーア紡マテリアル/連続染色設備が強みに〉
トーア紡マテリアルのOEMを主力としたカーペット事業は2016年12月期、前期比微増収だった。新規取引が拡大したほか、保有する連続染色設備を生かした後染めカーペットが堅調に推移した。カーマットはオプション、ラインともに微増。家庭用途は横ばいだった。
加えて、前年に導入したタフト機が稼働し、高付加価値ゾーンを拡大する。導入機は、1/10ゲージの無段階ループの広幅柄機。高級ゾーンのオプションマットやタイルカーペット、ロールカーペットの用途で活用する。同社は13年末にも柄物タフト機を導入している。タフティングから連続染色、ドライヤーまで一連の設備を自社工場に持つ点を強みに展開する。
今期は3月まで前年並みで推移する。
〈日本絨氈/滋賀工場が竣工〉
日本絨氈の滋賀工場(滋賀県甲賀市)が竣工、今秋をめどに本格稼働する。新工場建設で安定的な供給体制を整備し、海外市場や家庭用の拡販も視野に入れる。
滋賀工場に新設したタイルカーペットバッキング加工ライン(2メートル幅、全長570メートル、1ライン)は1分当たり15メートルの高速ラインで省力化し、効率よく生産できる。
タフト機は本社から移設した1台が稼動。5月にはCMC社の高速ループ機(4メートル幅、10分の1ゲージ)を新規導入するほか、今後数年で計6台体制にする計画。さらに50万平方メートル分を収納可能な自動倉庫を設置した。
滋賀工場の加工生産能力は年間1千万平方メートルあるが、当面本社工場を含めた両工場で850万平方メートル程度生産する。
〈長谷虎紡績/プリント機更新〉
長谷虎紡績は、チンマー社(オーストリア)の「クロモジェット400」タイプ(4メートル幅)のプリント機を導入した。
新プリント機は2016年8月に導入し、試運転を経て本格稼働している。1980年に導入したクロモジェット機を入れ替える形で、ドットが従来の1.6ミリから1ミリとなり、より細やかで鮮明な柄を表現できる。色数は最大12色。
同社はほかに、色数が最大16色のプリント機2台(2メートル幅、1.5メートル幅)を保有する。計3台体制で、堅調なアミューズメント施設向けタイルカーペットをはじめ、ロールカーペットや車両用オプションマットに活用する。
同社の16年10月期は前期比微増収。タイルカーペットは微増収、オプションマット、ダスコンも前期を上回った。
〈東レ・アムテックス/タイルカーペット参入へ〉
東レのカーペット製造子会社である東レ・アムテックスは、タイルカーペットへの参入を進めるとともに、オプションカーマットを強化する。
近藤隆俊社長は、現状のアイテムを重視しながら、「家庭用を含めてタイルは成長分野」として取り組む。具体的には、2台のウインス(バッチ)式の染色加工設備を持つ強みを生かし、OEMや賃加工など幅広い選択肢を挙げる。
オプションカーマットは、長年培ってきたノウハウや経験豊かなメンバーが残っていると強調。国内市場でも高級車などで需要が一部戻っているとし、「チャンスがある。原糸からこだわった意匠性の高いモノ作り、別注対応力の強み」を生かして拡販を図る。
〈日本カーペット工業/ダスコン、カーマット強み〉
日本カーペット工業は、カーマット、ダスコン、機械部品関連で12件の特許を取得しており、技術力の高いモノ作りに定評がある。タフト機は11台保有し、カーマットとダスコンの売り上げが約90%を占める。
ダスコンでは、特殊な糸使いを含め、粗ゲージからファインゲージまで用途に合わせて最適な製品を提案する。伯井真吾社長は「ダストコントロールは付加価値を認めてもらえる分野」とこだわりのモノ作りを追求し、独自のポジションを獲得している。
2006年には中国・江蘇省に独資の蘇州東伯商易を設立しており、中国製の家庭用カーペットも扱う。カーペット糸など原材料を中国から調達できる点も強みになっている。
〈根来産業/タイに生産拠点集約〉
根来産業は、カーペットの生産拠点をタイに集約して生産効率を高める。
同社は海外グループ企業に、天津恩愛環保(中国・天津市)と、タイネゴロ(タイ)があるが、天津恩愛環保を2016年10月末で閉鎖し、整理を進めている。
2生産拠点を使い分けてきたが、人件費が福利厚生まで含めると中国の方が割高になっていた。さらに今後中高級品へシフトを進める上で、タイネゴロの従業員の熟練度、設備を生かせる点を踏まえて集約した。
タイネゴロはタフト機16台を保有し、カーマットをはじめ、基布にウレタン加工してクッション性や軽量性に優れた家庭用ラグが堅調に推移する。
同社グループの16年12月期の売上高は21億円で、このうちタイネゴロが16億円を占める。