三菱レイヨン アクリル短繊維事業/扁平をファー以外に展開/東南アジア市場へ注力

2017年02月16日 (木曜日)

 三菱レイヨンはアクリル短繊維事業で、フェイクファー用を主力とする扁平(へんぺい)アクリルを他用途にも生かすほか、東南アジア市場の再構築などに注力する。

 アクリル短繊維の主力用途の一つであるフェイクファー用は中国でのアンチダンピング措置や市場環境悪化の影響を受けている。10~12月は中国内需用のシーズンだが、昨年は盛り上がりを欠いたまま終えた。ただ、市場ではウール製やポリエステル製は堅調で、ウールとポリエステルの間の価格帯になるアクリルが苦戦した形となった。ポリエステルとはこれまで展開領域が異なっていたが、アクリルが得意とする毛足の長いタイプでも品質の追い上げがあるとされる。

 このような中、今後に向けてはアクリルが得意とするゾーンでよりリアルな質感を実現する素材開発などに注力するとともに、販売面では中国からの再輸出向けを強化する。

 フェイクファー用はリアルな質感を出すために様々な断面形状のアクリル短繊維が使われる。同社は扁平だけでなく、Y字型やアレイ型など豊富な断面形状をそろえる強みがあり、それをフェイクファー以外の用途にも生かしていく。特に注力するのが寝装で、取り組み先とともにマイヤー毛布などで新商品開発を進めていく。梳毛紡に限らずさまざまな糸企画を含めて取り組みを進めていく。

 極細アクリル「ミヤビ」を軸にインナー向けを強化するほか、機能を訴求しながらセーター用途の再構築も図る。セーター用は抗ピル品を中心に展開してきたが、今後は湿式芯鞘構造アクリル「コアブリッド」シリーズなどで、数量よりも質を重視した提案を進めていく。

 中国以外の市場では東南アジアを改めて掘り起こす。09年に紡績会社のボネックスを売却してから販売量が落ちていたインドネシアの市場を立て直すとともに、高付加価値化を進める現地紡績との取り組みでタイからのヤーンオペレーション強化を図る。