伊藤忠/ニット糸と合繊生地開発強化/素材起点に信頼深める

2017年02月02日 (木曜日)

 伊藤忠商事で百貨店アパレル向けOEM・ODMを手掛けるファッションアパレル第二課は、17秋冬向け企画提案で素材開発に注力し、ニット糸や合繊で新素材を打ち出す。合繊では北陸テキスタイル課の開発素材を採用。ニット糸では海外大手メーカーと共同開発した「セラフィアーナ」の展開を始め、主力販路での取り組みを拡大する。伊藤忠モードパルとの連携も継続的に深める。

 事業環境が厳しい販路だけに既存顧客向け、販路拡大ともに素材・縫製のモノ作り基盤での信頼性が重要とみており、特に商社機能の発揮が求められる素材開発に注力する。

 先日、開いた展示会では国産を中心に独自開発した素材や取り組み先が選定した素材を並べたブースも設けた。アウターでは非ウール素材の比率を高める考えで、ダウンウエアへのトレンド回帰を見込み、繊維カンパニー内の連携を通じた企画を提案する。

 繊維資材・ライフスタイル第四課が17秋冬向けから独占輸入を開始する、かさ高性に優れるフランス産ダックダウン「エルデベン」を採用。表地は北陸テキスタイル課が展開する北陸産地との共同開発によるテキスタイルブランド「LIVINAX(リビナックス)」の、新加工によるスエード調生地を用いるなど付加価値を高める。

 ウール調、梳毛調素材のラインアップも増やし非ウール商材に対する需要を取り込む。

 展開時期が長くなり、比較的堅調なニットでも独自糸セラフィアーナを開発した。豪州産の品種改良メリノをウールニットメーカーのシンアオ社と共同開発した糸で、弾力性や抗ピリング性に優れるという。ニット商材を強化する一貫で、寺田ニット(山梨県市川三郷町)との取り組みを17秋冬から始める。同社が保有する「ホールガーメント」の最新設備を活用する。

 生産面ではQR要望に応える中国・国内縫製基盤を維持しつつ、ベトナム縫製を強化する考え。同国に拠点を持つ伊藤忠モードパルと共有化などで連携深め、17年には中国を上回る主力の海外生産拠点になるという。