「AFF・東京2016」開幕/ニーズ察知し提案/対日、事業環境には厳しさ

2016年09月29日 (木曜日)

 「AFF・東京2016」が28日、サンシャインシティ文化会館B、C、Dホール(東京都豊島区)で開幕した。会期は明日30日まで。初日、午前中の来場者はまずまずだが、立ち止まってじっくり話し込む姿が見られた。

 420社、490小間の出展規模は前回の東京展と比較して20社18小間増えている。対日衣料品生産で受注獲得を目指す出展企業の意欲の表れを示す。パネルやタペストリーを使ってスピードや小ロットを中心に自社機能を訴求するブースがよく目についた。初出展の青島潤嘉服飾は設立5年で、ジーンズを主体とした布帛全般の新進縫製工場。ブースに飾られた特大ジーンズがアイキャッチになっている。

 主催者のAFF、日中経済貿易センターも出展企業の姿勢を後押しし、ODM(相手先ブランドによる企画・生産)対応、短納期、機能素材など特徴ごとに出展企業をまとめたパンフレットを作成し、来場者を案内する工夫も取り入れている。

 こうした、出展内容の質的な向上を目指す工夫は、中国繊維企業の“焦り”も背景にある。中国政府が今年初めに発表した2015年の貿易統計によると、輸出と輸入を合わせた貿易総額は前年比8%減の3兆9586億ドルで、6年ぶりに減少した。輸出は、欧州など主要輸出先の景気減速の影響で2・8%減の2兆2765億ドル。輸入も内需が振るわず、14・1%減の1兆6820億ドルと大きく減った。

 日本向けも市場が低迷する状況は同じだ。特に婦人布帛を手掛ける縫製工場の中には、16秋冬向けのアウター生産受注数量が15秋冬に比べ10%減少した企業もある。南通東洋服飾の担当者は「10年以上の対日実績の中で今年が最も厳しい」との実感を語る。日系商社を通じた百貨店アパレル向けを主力とする同社は、リバーシブル素材など難しい縫製技術が要求される商品への対応力を訴求して新たな顧客開拓を図る。

 同じく婦人布帛を手掛ける新陽昇国際貿易南通は自社工場を持つ貿易公司だが、量販店向けボリュームアイテムで「スペースを埋める難しさがある」と、東南アジアへの生産シフトによる影響を語る。日本向けが売上高の9割を占め、中国国内生産100%を維持する中でも16秋冬の受注数量を前シーズン並みとしたのは、複数の日系商社との取り組みを通じてセレクトショップ向けの生産が増えたため。昨年、東京に事務所を開設し、商談の加速を図ったことが奏功した。

 青島潤嘉服飾も「対日で生き残るには細かい対応で顧客としっかり取り組むこと」とし、「ミニマムロットを設けず、1点から対応する」ことを訴求点にする。

 「実需期まで引き付けて発注する傾向が強まっている」ことは、日系商社の製品ビジネス担当者が共通して口にする今年の傾向だ。こうしたニーズを敏感に察知した出展者の打ち出しが目立つのも今回展の特徴と言える。