学生服アパレル/先見据え、設備投資や提携/今入学商戦は各社堅調
2016年04月15日 (金曜日)
学生服アパレル大手4社は、消費増税による駆け込み需要の反動が今入学商戦ではなかったことに加え、モデルチェンジ(MC)校の獲得が「例年並み」「増加した」ことで、今期増収になりそうだ。生徒数は減少傾向にあるものの、学校別注や多品種小ロット生産の増加で設備投資が続くほか、ブランド投入などによるシェアの拡大を狙う動きが活発化する。
今入学商戦は消費増税の反動が無く、低水準だった昨年に比べMC校は増加したようだ。MC校の獲得については、明石スクールユニフォームカンパニー(明石SUC、岡山県倉敷市)と瀧本(大阪府東大阪市)が例年並みで推移。菅公学生服(岡山市)が「例年よりも勝率が良かった」(尾﨑茂社長)、トンボ(岡山市)が「例年以上だった」(近藤知之社長)と、各社の増収基調への追い風となる。
ただ、生産面では学校別注対応や多品種小ロットの増加、入学式前に納入しなければいけない特殊な事情で、キャパシティー不足も表面化しつつあり、積極的な設備投資が続く。菅公学生服は約7億円を投資し、学生スラックスを生産する高城工場(宮崎県都城市)を近隣へ移転増設、新工場を設立する。年内に稼働を予定し、生産増強のほか、第二期計画として、隣接地に裁断センターの建設も計画。今回の一連の投資で100人の新規雇用を見込み、「次なる10年、20年に向けた拠点にする」(尾﨑社長)。
明石SUCは、約6億円を投資し、詰襟服を中心に生産するアクシーズソーイング(沖縄県糸満市)を拡張して今年7月までに第2工場を建設する。沖縄の営業拠点も集約、併設し、自動裁断機(CAM)の導入も予定する。別注増加で多品種小ロット生産が増えるなか、ジャケットやスラックスなど「様々なアイテムを生産できる体制にする」(河合秀文社長)のが狙い。生産量が拡大してくれば現在75人の従業員から増員も図る。
新ブランド投入による市場でのシェア拡大を図る動きも活発化する。瀧本は昨年、「カンゴール」「ミズノ」ブランドの学生服を展開することを発表した。ミズノはすでに、学校別注として今入学商戦で採用が数校決まり、「スポーツが強い学校からの反応が多い」(高橋周作社長)。来入学商戦に向けても積極的に学校に対しアプローチをする。
今年、創業140周年を迎えるトンボは、「トンボ140thアニバーサリーマーチャンダイジングプロジェクト」を昨年から実施、その一環として学校別注用途へ制服ブランド「イーストボーイ」の販売に乗り出す。本格的に採用が決まり出す来年の入学商戦では「10校の採用校は確保したい」(近藤社長)との考えだ。
今月、大手SPAのストライプインターナショナルとパートナーシップ契約を結んだ菅公学生服は、女子学生服の学校別注として「カンコー アース ミュージック&エコロジー」を展開し、3年間で15校の採用、2億円の売り上げを計画する。ストライプインターナショナルが展開する「アース ミュージック&エコロジー カンコー レーベル」の自由通学服とその関連商品についても、直営店の「カンコーショップ」で販売する予定で、これまで少なかった自由通学服への広がりを期待。「今の時代の感性を持った学校制服を提案する」(尾﨑社長)と、新たな試みで市場の掘り起こしを進める。