有力アパレル編/ニーズ掘り起こす商品開発へ

2016年02月18日 (木曜日)

 中高の制服市場に比べ、シェアが小さい小学生の制服市場であるが、学生服アパレルは、小学生向けのウエアで着心地や使い勝手の良さ、デザイン性など、あらゆる角度からニーズに沿った商品開発に取り組んでいる。

〈菅公学生服/シーズをニーズに変える/「タフウォッシュ」販売好調〉

 菅公学生服は、小学生向け制服「タフウォッシュ」の販売が好調だ。今期の売り上げは前期に比べ5割増で、曽山紀浩取締役開発本部長は「100回洗ってもくたびれないといった機能性が評価されている」と話す。

 タフウォッシュは家庭洗濯で丸洗い可能で、毛玉やひっかきキズにも強く、洗っても風合いが変わりにくいのが特徴。ストレッチ素材による着心地の良さに加え、成長後にサイズアップできるように、生地を折り込むなどの機能を備える。商品は詰め襟やイートン、ポロシャツがある。

 同社が以前実施した調査では、「私服の学校に通学している児童の保護者の3割が、私服の着用で困った経験を持っているという結果が出た」(曽山取締役)ことから、潜在的な需要のなかに漂う「シーズをニーズに変える」ことで小学生服市場を少しずつ開拓。子供たちの未来を応援する「ドリームプロジェクト」や、教育現場での課題解決を支援するプロジェクト「カンコーマナビプロジェクト」など地道な活動を通じ、「制服の価値を浸透させる」考えだ。

〈明石スクールユニフォーム/市場環境に沿ったモノ作り/商品充実で市場広げる〉

 明石スクールユニフォームカンパニーでは、消臭、抗菌、防汚機能を持つ空気触媒の「TioTio」加工を付与したポロシャツなど、店頭商品の小学生向けウエアの販売が好調だ。今期も抗ピリング性で破れにくい特徴を持ったニットベストや、ブラウスに近いデザインの女子向けポロシャツを発売し、市場を広げている。

 量販店や衣料品チェーンが販売するスクールウエアに比べTioTio使いのウエアは高価格帯となるが、「共働きの世帯の増加で、洗濯してもすぐ乾くといった取り扱いやすさなど、市場の環境に沿ったモノ作りを進めてきた」(金田伸吾スクール第一販売部長)ことが評価され、「リピーターの拡大にもつながっている」。来期にはイートンや詰め襟服といった小学生向け重衣料でもTioTio加工の商品を充実する。

 2013年の入学商戦から投入してきた「キャンパスニット」シリーズのポロシャツを接触冷感やノンアイロンなど機能別で展開し販売量を拡大。制服を“晴れ着”ととらえ、お祝い品としての新しい需要の創出にも取り組む。

〈トンボ/ニーズに応える商品供給/ブランド認知も広げる〉

 トンボは、小学生向けの制服「トンボ・ジョイ」の販促に力を入れている。4年前にこれまでのパターンを見直し、ストレッチ性や撥水、抗菌防臭など中高生の制服と同じように機能性を強化した。安原誠商品開発部長によれば、「販売店が顧客へ売りやすい」といった声が聞かれ、既制服の置き換えを含め、少しずつ販売量が増えてきた。

 体操服では小学生向けの「瞬足」が、保護者や生徒の認知度の高さに加え、Tシャツやハーフパンツ、ジャージなどアイテムの充実とニーズに応えるデザインバリエーションで販路を広げる。幼稚園や保育園などの園児服向け「マイパレット」や、小中一貫校向けライン「トンボプライマリー」などもそろえ、学校の特色に合わせた様々なアプローチができる。

 昨年30回の節目を迎えた「WE LOVE トンボ」絵画コンクールなどの取り組みを通じて、児童へのトンボそのもののブランド認知の向上にも地道に努めていきながら、安原部長は「ニーズを見極めながら、それに応えるべく、商品の提案や供給をしていきたい」と話す。

〈オゴー産業/安心、安全でニーズつかむ/ランドセル本格販売へ〉

 オゴー産業は、防災ずきん付き多機能ランドセル「プレセーブ」の販売を今春から本格化している。2011年の東日本大震災をきっかけに5年前から構想し、国内のかばんメーカーとの取り組みでようやく開発にこぎつけた。小学生程度の体重であれば十分浮かぶうえに、脱着可能な腰ベルトを付けることで、浮力をより増せる。防災ずきんを収納し、落下物による災害にも対応できる。

 GPS付きの防犯に対応した制服をプレセーブブランドとして展開しているが、「子供たちを守る、安心・安全のランドセル」(片山一昌企画開発部長)として同じブランドのシリーズとして取り込んだ。

 同社は安心、安全をキーワードにした商品開発、取り組みを充実させており、昨年には主催する「全国地域安全マップコンテスト」が「キッズデザイン賞」(キッズデザイン協議会主催)を受賞した。子供たちの危険回避能力の向上と地域の安全な環境作りに役立つ取り組みで、「これまで取引が無かった学校との関係の構築につなげていきたい」と言う。