帝人 セーフティソリューション部/安全意識の高まりが追い風/ITを活用した開発も
2016年02月16日 (火曜日)
帝人の高機能繊維事業本部セーフティソリューション部は今期、10%弱の増収で推移する。来期も安全や快適を視点に開発を加速し、国内外とも拡大を狙う。
同部は、アラミド繊維の難燃防護衣料を国内外に販売する。販路は、官需向けで消防関連や防衛関連など、民間向けで警備会社や溶鉱炉前の作業着などがある。メタ系の「コーネックス」「コーネックス ネオ」、パラ系の「トワロン」「テクノーラ」と4種類のアラミド繊維を持つ強みを生かし、とくに高い性能が求められる頂点ゾーンをターゲットにする。評価技術も強みの一つで、松山事業所の技術開発センターに燃焼マネキンによる火傷評価システム「プリフ」を持ち、商品開発に生かす。これは現在のところ消防庁と同社にしかないという。
国内向けの販売は安全への意識の高まりでアラミド繊維がターゲットとする市場が広がっていることが追い風となる。また、川中・川下展開のなかで培った技術を生かす形で、民間向けも拡大傾向にある。民間向けのなかでとくに伸びているのが消防団向けで、消防庁から消防団の装備を充実させる指導が出ていることなどが背景にある。このほど開発したアラミド繊維の法被もその一つだ。
法被はプリントで多様なデザインを可能としたのが特徴の一つ。これまでの着色は原着のみだったが、アラミド織物へのプリント技術を確立することで顧客ごとのデザインカスタマイズも可能となった。民間向けは官需よりも短納期対応が要求されるものの、生機ストックで対応することで納期を半分に短縮できることも今後に生きる。
川中・川下展開は引き続き拡大し、製品展開で得た情報を素材にフィードバックして開発を加速する。重視する開発テーマは「安全」「快適性」で、高視認対応のほか、さらなる軽量化やストレッチなどを視点に開発を進める。
このほか、帝人グループ内の連携で、消防服のIoT(モノのインターネット)などITを活用した新しい視点の開発にも取り組む。海外展開が拡大傾向にあるなか、中国の開発拠点との連携も出てくる。
海外向けも伸ばす。とくに難燃防護服のグレードが上がっている中国、東南アジア、インドなどで拡大を図る。