ミラノからの手紙/「ITMA2015」報告(11)/織機・織布関連機器 5/次世代型への更新進む

2016年01月04日 (月曜日)

 「ITMA2015」では、織布準備機械や電子ジャカードなど開口装置で次世代型の発表が相次いだ。日本市場などでも準備機や電子ジャカードの更新時期に入っていることから、各社とも新型機で更新需要を積極的に掘り起こす戦略だ。

 ストーブリは新型の自動ドローイング機としてドローイングユニット移動式で枠枚数最大12枚の「サファイアS40」と、ドローイングユニット固定式で枠枚数最大20枚の「サファイアS60」を発表した。なかでもサファイアS60は、多くの織布現場で稼働しているストーブリの「デルタ100」「デルタ110」の後継機という位置づけだ。

 サファイアS60の最大の特徴は、糸取り機構が分離ニードルによる畦取り方式から、吸引方式に変更されたこと。ニードルレスの糸取り方式は異種異番手のドローイングで汎用性が格段に高まっている。また、畦取り方式に簡単なユニット交換で変更可能だ。光学センサーによる糸管理システム「アクティブヤーンマネジメント」も搭載し、ドローイング精度向上とミス防止を実現した。

 一方、電子ジャカードも「SX」「LX」「LXL」それぞれがバージョンアップ。モジュールの材質変更や空冷システムの強化で耐久性が向上した。大口タイプのLXとLXLはパーツに互換性を持たせるなどラインアップの整備も進めた。

 電子ジャカードでは、バンデビーレグループのボーナスが新型機「Si」を実機展示した。6144口以上となる大型機だが新設計ユニットを採用することで小型化と高回転を実現した。

 ガントリーを使わずに電子ジャカードを織機のメーンフレーム上に直接搭載する「スーパーストラクチャー」も注目された。振動などへの懸念があったが、製織実演では安定した稼働を披露し、完成度の高さを見せる。スーパーストラクチャー方式が普及すれば、ジャカード製織で必要とされるスペースが劇的に削減できるため、とくに先進国の機業にとってはメリットが大きい。

 ストーブリ、ボーナスともに織機メーカーと連携してカルダンシャフトレスの独立駆動方式も提案している。織機と電子ジャカードの動力を別にすることで機械的な制約が無くなるなど多くの可能性を秘めるが、投資額が大きくなることやエネルギー効率のうえで課題も多い。電子ジャカード自体が次世代型に更新されるなか、今後は織機と合わせたシステム全体の進化への注目が高まる。

 そのほか、グロッセは前回の「ITMA2011」に続いて積極方式ハーネスレス電子ジャカード「ユニシェッド2」を実機展示。津田駒工業の織機に搭載してサイドエアバッグ基布の製織を実演した。前回出展と比較すると、かなり稼働も安定している。従来とは異なる製織方式だけに、こちらも今後の動向に注目だろう。