帝人フロンティア/長短複合で特徴両立/「オクタNeo」を開発

2015年12月04日 (金曜日)

 帝人フロンティアは3日、中空8フィン断面ポリエステル長繊維「オクタ」と、化合繊短繊維や天然繊維による芯鞘構造の長短複合紡績糸「オクタNeo」を開発した。17春夏向けからスポーツウエア用に生地展開し、16年度2万5000メートル、17年度10万メートル、19年度50万メートルの販売を見込む。

 オクタNeoは芯部分にオクタ、鞘部分に化合繊短繊維や天然繊維を配することで、長繊維の機能性と短繊維の風合いを併せ持つ。

 芯部分のオクタによるかさ高・軽量(丸断面糸に比べ約2分の1の軽量性)や繊維間の透き間が多いことによる通気性、微細な溝による拡散性、防透性、ストレッチ性、破裂強度の高さ、洗濯後の寸法安定性を発揮する。

 また、鞘部分の短繊維を変えることで肌触りだけでなく、素材変更により様々な機能性を付与する。さらに高バランス織・編み物「デルタ」や汗による不快感を軽減する「トリプルドライカラット」と組み合わせることで、多様な生地展開も可能になる。

 こうした特徴を生かして春夏だけでなく、オールシーズン対応するほかTシャツ、ポロシャツ、肌着など幅広い分野に展開する。生地値は1メートル500~800円を想定する。

 現在、芯部分のオクタは44デシテックス/12フィラメントで、糸種は20、30番手の2タイプだが、順次拡充するとともに、芯部分にポリトリメチレンテレフタレート繊維「ソロテックス」など機能糸使い、鞘部分にソロテックス短繊維や吸湿発熱素材「サンバーナー」を配したタイプなどの開発も進める。

〈スポーツ素材、売り上げ、利益が2けた%増〉

 帝人フロンティアのスポーツ素材事業が好調だ。2015年度は売上高で前期比10%増、営業利益は20%増を計画するが「上振れする可能性もある」(繊維素材本部の中谷太一テキスタイル第一部長)とみる。上期も10%増収、20%増益だった。

 国内販売はほぼ横ばいながら、輸出など海外販売が北米向けを中心に好調な推移を見せる。海外販売比率は40%に高まっており「グローバルメガブランドに直接対応し、デルタを中心に機能素材を組み合わせて需要家にカスタマイズする戦略が奏功している」と手応えを示す。