不織布100選/~成長する理由~(35)/帝人(3)/独自不織布、海外へ

2015年11月30日 (月曜日)

 帝人は本体で原料販売に加え不織布、不織布製品を強化するが、実はグループ企業で不織布、それも独自の合繊長繊維不織布を製造販売している。それが山口県岩国市に本社を置くユニセルだ。

 1985年に帝人から分社化して、今年が創立30周年のユニセルは、合繊長繊維不織布の代表であるスパンボンド不織布(SB)と異なり、バーストファイバー法、トウ開繊法、積層延展法を組み合わせた独自の合繊長繊維不織布とメルトブロー不織布を製造販売する。

 バーストファイバー法は樹脂を薄膜状に溶融・押し出しフィルムを作る技術により不織布状シートを作る。トウ開繊法は多数の長繊維を収束したトウを延伸捲縮、開繊拡幅する。ともに中間製品であり、これを積層し横方向に広げることで不織布化する。この製法は世界唯一であり、帝人は1975年に独自製法による合繊長繊維不織布の開発をスタート、80年に事業化した。

 ユニセルは現在、山口県岩国市の帝人岩国事業所内に本社工場を置き、生産能力は年2000トンとSBに比べて小規模。しかし、独自製法から生まれる不織布は(1)優れたヒートシール性(表裏で異なる原料を使用)(2)鮮やかな印刷性(フラットローラーによる)(3)良好な成形追随性(縦・横の伸度差が少ない)(4)高い吸油・保温性(バーストファイバーによる多孔構造)――などの特徴を持つ。

 この特徴を生かして自動車のボンネット裏に使用する防音材、断熱材などの建材、包装資材などに展開するが、海外市場の開拓にも力を入れる。その表れが今年5月に、ドイツで開催された世界最大の産業資材・不織布の国際見本市「テクテキスタイル」(初出展)、中国上海で開催されたアジア国際不織布産業総合展・会議「ANEX」出展もその一環。そしてさらに踏み込み、海外生産にも乗り出す。

 すでに帝人のタイ子会社、テイジン・ポリエステル〈タイランド〉(TPL)にスリット加工機を導入し、不織布加工を行うが、自動車資材を中心に今後、海外需要増が見込めると判断。TPLでの生産を決定した。生産能力は年200トンで、16年後半から稼働させる。