変わる基幹工場/帝人松山事業所 60 周年(前)/新たな機能担う
2015年11月17日 (火曜日)
帝人の松山事業所が今年60周年を迎えた。1955年、ジアセテート繊維の生産を開始以来、国内最大の事業所、基幹工場として松山事業所は「繊維、樹脂など素材事業の屋台骨」(後藤陽代表取締役専務執行役員技術本部長)を支えてきた。だが、その役割は今大きく変わりつつある。同社が目指す「ソリューション提供型事業体」への変革に向けて、松山事業所は新たな機能を担う。
◇
帝人は13日、松山事業所(愛媛県松山市)創業60周年を記念し、報道陣向け見学会を開いた。大阪研究センター(大阪府茨木市)から移設したばかりの燃焼マネキンによる火傷評価システム「PLIFF」(プリフ=プロテクト・ライフ・フロム・ファイヤー)を初公開するとともに、今年8月に開設した技術開発センターを紹介、さらに午前中関係者のみで行われた60周年記念集会会場で、同社の各種製品を披露した。
その各種製品から松山事業所、そして同社が目指す方向性が示されている。披露された展示品は同事業所で生産するパラ系アラミド繊維「テクノーラ」などのアラミド繊維、2013年に移設・開設した複合材料技術開発センターで取り組む熱可塑性炭素繊維複合材料、ナノファイバー「ナノフロント」などによる製品や、ニトリとの取り組みによるインテリア製品などソリューション提供型ビジネスで構成されていたからだ。
そのソリューションビジネス強化のため、同事業所南地区の旧ポリエステル長繊維工場建屋を活用し、今年8月に開設したのが技術開発センターになる。50~60人で構成する同センターは全社横断によるソリューション開発、エンジニアリング機能の融合の場としての役割を担い、新ビジネスを創出する拠点でもある。
各種分析・評価などを行う同センターだが、その一つが今回初披露した燃焼マネキンを用いた火傷評価システム、プリフ。同センターとは別棟の専用建屋から成る。2000年に大阪研究センターへ国内の民間企業として初めて導入したもので、今月松山事業所への移管が完了したばかりだが、単なる移設でなく、レベルアップもさせている。