特集 ITMA2015/“アート”の革新へ/テーマは“サステイナブル”/有力出展者と見どころ
2015年11月06日 (金曜日)
バンデビーレ/「ボーナスSi」を実演/伊藤忠システックが事務局
バンデビーレグループは、カーペット織機のバンデビーレ、電子ジャカードのボーナス、フィーダーのROJなどグループ全体で大規模なブースを構える。なかでも電子ジャカードのボーナスは、最新型である「Si」をドルニエのレピア織機「P1」に搭載しての実演を行う。
Siは、既存機種に比べ、96本のセレクションホックの操作が可能で、同スペースで口数を2倍にできる。モジュールの小型化・軽量化で織機のメーンフレームに直接ガントリーを設置して搭載することが可能など省スペース性に優れる。
今回はドルニエのP1に搭載して製織も実演。ジャカードと織機を個別モーターで駆動し、電子制御で同調させる方式を見せる。また、日本代理店である伊藤忠システックがブースに事務局を設置し、日本からの来場者をアテンドする。
島精機製作所/「MACH2XS」登場/デザインシステムも進化
島精機製作所がホールガーメント(WG)横編み機を世界に発表したのが、ミラノで開催された「ITMA95」だった。あれから20年、再びミラノで開かれるITMAで次世代WG横編み機「MACH2XS」を世界に向けて発信する。
MACH2XSは、4枚ベッドのWG横編み機に世界で初めて可動型シンカーを搭載し、糸を上方から押し込む形でループを移動・編成する。従来機では不可能とされた立体的な編成が可能になった。糸を下方から引き出すための捨て編み部分が不要となり、糸のロスを削減する。編み幅も小さくなり生産性も従来のWG横編み機から大幅に向上した。
3Dデザインシステム「SDS―ONE APEX3」も新エンジンに刷新。デザインシミュレーション画像に糸データを従来よりも大量に反映させることで、製品表面のループによる凹凸感や毛羽による生地表情も高精細に画像で再現できるようになった。実物に近い仮想サンプルで、時間、エネルギー、資源を節約でき、リードタイムも短縮できる。MACH2XSと連動することでさらに威力を発揮する。
豊田自動織機とコラボレーションによる新型デザインシステムが「APEX―T」として登場するのも注目だろう。この他、自動裁断機「P―CAM」なども紹介する。
福原産業貿易/最新丸編み機5種を出品/丸編み地で異なる表情実現
福原産業貿易は「M―LEC8BSH(38インチ×20ゲージ)」「OD5―MXC―E3・2RE 30インチ28ゲージ96F HIGHLEG」「M―LEC6DSI(38インチ×28ゲージMframe Cyl3position)」「OD5B―M―LPJ3B(30インチ×36ゲージ72FDIAL RDS)」「M―9MEQG(30×28/7クォーターゲージ)」の丸編み機5台を紹介する。
M―9MEQGは、シリンダーで7ゲージ、ダイヤルで28ゲージが同時に編める最新機種で、「クォーターゲージ」技術としてITMAで発表する。生地は表と裏で全く違う表情を持つ丸編み地を生産でき、例えば表面はざっくりした表情を持ちながら裏面は風を通さない形とすることができる。
M―LEC8BSHは寝具用のマットレス生地を生産するための最新機種で、ダブルニット・電子ジャカード編み機としては最高水準の高生産性を回転数と給糸口数の増加で実現した。
M―LEC6DSIはマットレス地用・両面選針の新機種で、多色使いのジャカード柄やハイゲージ化による織物調編み地が生産できる。電子制御でシリンダー、ダイヤルとも28ゲージを実現した。電子柄編み機ではシリンダーだけでなくダイヤルまで28ゲージにしたのは初めてだ。
ドルニエ/新型レピア織機「P2」登場/「シンクロ・ドライブ」進化
伊藤忠システックが輸入販売するドルニエは、新型のレピア織機「P2」を披露する。産業資材分野を視野に入れた特殊レピア織機だ。
P2は、ドルニエのレピア織機「P1」をさらに発展させたもの。ドルニエの特徴である棒レピアによる積極レピア方式に加え、二重ワープビームとすることで特殊な織物を製織するが可能だ。ITMAでは320センチ幅で超高密度メッシュ織物の製織を実演するなど産業資材分野を明確に視野に入れた機種だ。
そのほか、レピア織機「P1」とエアジェット織機「A1」も最新バージョンをそろえ実機提案する。とくに注目なのが、電子ジャカードメーカーのスタンドで見せる実演だ。
ストーブリのスタンドではA1、ボーナスのスタンドではP1にそれぞれの電子ジャカードを搭載して製織も実演する。いずれもジャカードと織機を個別モーターで駆動し、電子制御で同調させる「シンクロ・ドライブ」システムを搭載する。
ロナティ/新型パンスト編み機発表/ユニオン工業がアテンド
ソックス・パンティーストッキング編み機メーカーのロナティは、新型のパンスト編み機を発表する。日本・アジア総代理店のユニオン工業が視察ツアーを実施しており、ブースでも日本からの来場者をアテンドする。新型のパンスト編み機は、シームレスで編み立てる“ワンピース”パンスト編み機。パンストは通常、左右の脚の部分を別個に編み立て、パンティーの中心部で縫製するため、パンティーのセンター部分に縫い目が生じる。左右の脚からウエストまで一体で編み立てる方法もあるが、骨盤部分をホールドする膨らみは成形できず、生産効率も悪かった。
こうした課題を解決したのがワンピースパンスト編み機。後工程のつま先部分とウエストバンドの縫製も自動縫製ラインを開発し、生産効率を飛躍的に高めた。パンストの生産工程に革新をもたらす機械と言える。
ソックス編み機では、つま先自動リンキング装置付き編み機「SbyS」のバリエーションを拡大して紹介。新たにダブルシリンダー機も用意し、リンクス柄のソックスでもつま先自動リンキングが可能になった。
コニカミノルタ/シングルパス方式を披露/「ナッセンジャー10」も発表
コニカミノルタはシングルパス方式のインクジェット(IJ)捺染機「ナッセンジャーSP―1」を技術展示として披露する。また、新型機として高速IJ捺染機「ナッセンジャー10」と中速機「ナッセンジャー8」も発表する。
ナッセンジャーSP―1は、ノズルヘッドを固定し、ロータリー捺染機と同様に搬送する生地にプリントするシングルパス方式を採用した。通常のスキャン方式に比べて生産スピードが飛躍的に向上する。新規ヘッドの開発と独自の射出制御技術により、大・中・小の液滴量を打ち分け、繊細な表現も可能だ。
スクリーン捺染に匹敵する加工速度を生かし、イタリアやトルコ、中国などの大規模捺染業者への提案を進める。
一方、ナッセンジャー10は最速毎時580平方メートルのプリントを可能にし、画質、濃度、浸透性などに応じた多彩なニーズに対応したプリントモードも搭載。欧州を中心に中・大規模捺染業者を中心に提案する。また、ナッセンジャー8は最速毎時240平方メートルの能力でサンプルから小ロット生産まで幅広く対応することから、欧州や中国の中小規模捺染業者に対して小ロット・短納期の受注に対応する機種として提案する。
日阪製作所/「サーキュラー」を提案/伊・ノセダ社生産品も披露
日阪製作所は、液流染色機「サーキュラーCUT―MF」「サーキュラーCUT―SP」の2機種を提案する。今回展では共同出展する伊・ノセダ社で製造した実機を披露する。
サーキュラーCUT―MFは天然繊維から合繊、薄地から厚手まで広範囲に対応できるのが特徴。「サーキュラー」シリーズの中でも主力機種の一つで、欧州でも高い評価を得ている。また、サーキュラーCUT―SPは高品位・高品質なテキスタイルを生産するのに威力を発揮し、天然繊維、複合繊維、合繊薄地、極細繊度糸使いなど繊細な生地でも毛羽立ち、フェルト化、スレなどの問題を軽減する。独自の特殊内構により安定した走行と均一な滞留を実現して高品質を実現し、ノズル噴射角度の最適化、リール機構を無くすことで無駄なテンションを軽減して生地へのダメージを減らし高品位な生地に仕上げることができる。生産性も従来機に比べて10~20%の高速化を実現した。
「省エネ」「安定性」「汚れ防止」等のテーマで開発を進めている新機種のコンセプト・方向性も紹介する。
「排水など環境問題」「生産効率の向上・安定生産」「人手不足・技術継承等の問題」「さらなる高品位化・高付加価値化」などのニーズに沿って新機種の開発を進めている。
東伸工業/常時、高速捺染を実現/「イチノセ2050」を発表
東伸工業は、テキスタイル用高速インクジェット捺染機「イチノセ2050」を発表する。すでにプロトタイプ(1軸12ヘッド機)を披露しているが、ITMAでは本格的な量産機(24ヘッド機)を発表する。
イチノセ2050は、高解像度プリントヘッド(600dpi)、プリントヘッドの特殊配列、高精度ベルト送り制御システム、特殊プリントモードの採用により、生地種類、デザインが変わっても常時、毎時400~480平方メートルでの高速捺染を可能にした。
従来のテキスタイル用インクジェットプリンターは、プリントヘッドの解像度、濃色プリントに対するインク量、不良発生リスク(高精細デザインでのプリント精度など)などの理由でパス数を増やさないといけないため、結果としてプリント速度が大幅に落ちることから、カタログ表示の最高速度と実際の生産速度には大きなずれがあった。
インクジェットプリントは、従来の多品種少量生産用から、近年はプリンター速度の大幅向上、インク価格の下落もあり、量産機として普及しつつある。同社はイチノセ2050を中量生産用の戦略機種として位置づける。大ロット生産に対する市場からのニーズに備え、シングルパス機の開発にも着手している。
ミマキエンジニアリング/昇華転写用で最新モデル/無人運転サポート機能充実
ミマキエンジニアリングは、昇華転写用プリンターの最新モデル「TS300―P1800」を打ち出す。新開発のプリントヘッドによりインク滴の直進性を高めることで画質を維持しながらプリントヘッドのノズル面と転写紙の距離(ヘッドギャップ)を最大7ミリまで広げることが可能になった。
一般的にヘッドギャップが狭いと転写紙にシワが発生(コックリング)した際にプリントヘッドのノズルに触れてしまい、不良発生だけでなく故障の原因となる。一方、ヘッドギャップを広げると画質が低下する。
この課題に対してTS300P―1800はコックリング回避と高画質印刷を両立した。また、大容量の2リットルインクパック、ノズルチェックユニット、ノズル詰まりが復旧しないときにほかのノズルで自動代替するノズルリカバリーシステム、プリント状況をメールで自動送信するイベントメール機能など無人運転をサポートする機能も多く盛り込まれている。このほか、インクやソフトウェアも出展。プリンターからインク、ソフトまで自社開発している強みを打ち出す。
セイコーエプソン/「モナリザ」の進化形を/昇華転写プリンターも多彩
セイコーエプソンは現地子会社のフォルテックス、パートナー企業であるロブステリとインクジェット捺染の最新ソリューションを提案する。生地ダイレクトプリンターとしては高級捺染分野で評価の高い「モナリザ」の最新バージョンを紹介。次世代に向けた進化形を提案する。また、昇華転写プリンターは64インチの高速モデル「SC―F9200」を中心にラインアップを紹介。ガーメントプリンター「SC―F2000」も紹介する予定。
前後処理に専門的なノウハウが必要な生地ダイレクトプリンターは、日本市場はセイコーエプソンが、そのほかの先進国はロブステリが販売を担当する。昇華転写とガーメントプリンターはセイコーエプソンがグローバル販売網を活用して拡販を進めている。今回のITMAでもセイコーエプソン、フォルテックス、ロブステリの3社協力体制によるユーザー支援の取り組みも具体的に紹介する予定だ。