秋季総合トップインタビュー/伊藤忠システック/取締役営業第一本部長兼産資・加工機械部長/村上 庄一 氏/重要性増す若手活用/衣料用ベースに資材用も

2015年10月30日 (金曜日)

 「機械の販売という事業は、ユーザーとの関係が何十年も続くだけに、若手社員の活用が非常に重要」と伊藤忠システックの村上庄一取締役は指摘する。11月にイタリアで開催される国際繊維機械見本市「ITMA2015」も視察ツアーを実施するが、ツアーを通じて国内のユーザーとの信頼関係を強める。同時に、衣料用だけでなく産業資材用も含めた最新機種の情報提供を進める方針だ。

  ――機械商社として人材活用のポイントは何でしょうか。

 やはり若手の活用です。機械の販売というのは、ユーザーとの関係が何十年も続くケースが少なくありません。ユーザー企業の代替わりもありますから。それと技術部門の人材が欠かせません。実は機械販売というのは、アフターサービスが大きなウエートを占めます。これがあるから当社から機械を買っていただけると言っても過言ではありません。

  ――現在の商況はいかがですか。

 国内での販売は好調です。やはり政府による助成金や優遇税制が設備投資の追い風になっています。ボーナスの電子ジャカードが今治産地で売れ始めましたし、ドルニエの織機も産業資材用途で販売台数が伸びています。加工機も安定しています。最近では風合い加工機が好調です。加工で差別化しようというニーズが高まっています。ただ、どの機種も現在の好調は政府の政策による後押しの結果ですから、ある意味で需要の先食いをしているとも言えますので、いずれ反動があることも懸念されます。

  ――海外市場は。

 ほぼ横ばいで推移しています。メーカーが増産に対して慎重な姿勢を取っていることも影響しているでしょう。中国市場は良くありませんが、その代わりベトナム、バングラデシュなどからの引き合いが増えています。パキスタンも従来の紡機だけでなく、最近ではエアジェット織機の販売が増加してきました。この流れで、今後は仕上げ機の販売を考えています。

  ――中国の状況をどう見ていますか。

 中国も、かつてのように“作ればもうかる”という時代は終わったのでしょう。品質や商品の内容が問われるようになってくるはずです。そうなれば、中国でもより高付加価値な機械に対するニーズが高まってくるはず。なんといっても繊維産業に関しては中国には圧倒的な基盤がありますから、今後も大きな地位を占め続けると考えています。

  ――11月に「ITMA2015」が開催されます。

 視察ツアーを実施します。ITMAを集中的に視察するツアーに加え、染色・織布と紡績・不織布に焦点を当てて産地見学もするプログラムを用意しています。約80人が参加する予定です。また、会場では当社が販売しているバンデビーレのブースに事務局を置き、日本からのユーザーをアテンドします。電子ジャカードやタオル織機などで新しい提案があるので注目でしょう。資材用途も見逃せません。

  ――今後の戦略を。

 世界的に需要拡大しているのが産業資材分野ですから、衣料用をベースに資材用の販売を伸ばしていくことになります。また、北陸産地などではちょうど機械の更新時期に差し掛かってきましたから、更新需要の確保が重要です。

こんな人財、大歓迎!/口八丁手八丁では困る

「機械の販売ビジネスは地味な商売なので、口八丁手八丁だけの人では困る」という村上さん。機械販売はアフターサービスがビジネスの要。「それがリピート需要につながる。機械販売はリピートあってのビジネス」。そこで常に求められるのはチームプレー。だからこそ「真面目であることが最も重要になる」とか。