ニッポンの技、ここにあり/テクテキスタイル見聞録(10)/加工場も最先端技術

2015年06月08日 (月曜日)

 「テクテキスタイル」には染色をはじめ各種加工場も数多く出展する。小松精練もその1社。今回で3回目となる。初回は廃棄材をリサイクルした発泡セラミック「グリーンビズ」、2回目は熱可塑性炭素繊維複合材料、そして今回は「国内市場で評価されているものを出して、反応を探る」(米澤和洋第1事業本部長補佐)として、合成皮革や透湿フィルムと生地を張り合わせた中間材料をメーンに据えた。毎回内容を変える企業はテクテキスタイルでは珍しい。

 重布加工専業の平岡織染(東京都台東区)も3回目の出展。地道な取り組みにより「英国では固定客を確保。ドイツは代理店を設けて展開する」(第2事業部海外営業部の榎本祥泰海外営業課長)など成果を上げている。今回展は透明膜材で耐候性、防汚性を高めたSXシリーズ(フタレートフリー=フタン酸エステルを未使用)などを提案したが、予想以上に好反応だったのは消臭メッシュ「デオドラテックス」。養鶏場などに使用されるもので、建築物などでも引き合いがある。

 2回目の出展となる合成皮革専業の加平(大阪府泉佐野市)は合成皮革にインクジェット捺染した「ERAY」を初披露した。昨年インクジェット捺染機2台導入した。合皮のインクジェット捺染は難度が高い。来場者からの反応も良く「公の場で披露するのは初めてなので、価格も含めてこれから詰める」と田所茂和総務部長は話す。

 同じく2回目となる耐熱・断熱材製造の日本グラスファイバー工業(愛知県江南市)は無機繊維を使用したニードルパンチ不織布などによる断熱材などを提案した。生化学系バインダーを使用した「バイオ・ライト」は前回展でも出品したが、その他炭素繊維廃材のリサイクル品など独自品が関心を集めた。「先端技術をアピールすることで海外でも社名を浸透させたい」と伊藤彰彦海外営業部長は話す。東レの英国でのポリエステル長繊維織布・染色子会社、トーレ・テキスタイルズ・ヨーロッパ(TTEL)は東レとは別に独自ブースを構えて、フッ素繊維「テフロン」、メタ系アラミド繊維を使用した防護服素材や、メディカル用素材などをアピール。かつてメーンのファッション素材も「かなり少なくなっている」(岩城周営業開発部長)と言い、構造転換が進んでいる。