ニッポンの技、ここにあり/テクテキスタイル見聞録(9)/円安追い風に輸出期待

2015年06月05日 (金曜日)

 日本エクスラン工業も初参加した「テクテキスタイル」の東洋紡ブース。従来はPBO繊維「ザイロン」など高性能繊維のみだったが、今回からは繊維クッション材「ブレスエアー」などバリエーションを広げた。ブレスエアーは子会社の東洋紡ヨーロッパ(ドイツ・デュッセルドルフ)が2013年、ドイツの協力工場で生産設備(年産1100トン)を導入し生産を始めており、アウトドア用チェアなどで採用が進む。同展では「大学や研究機関などからの問い合わせが多かった」(東洋紡ヨーロッパの丸井哉営業開発部長)。

 合繊メーカー大手だけでなく、日本の様々な企業がテクテキスタイルには出展する。しかも常連組も多い。その1社がフェノール(ノボロイド)繊維「カイノール」製造の群栄化学工業(群馬県高崎市)だ。ドイツ販売子会社のカイノールヨーロッパ(ハンブルグ)として毎回出展する。防炎、耐熱、断熱、耐薬品性に優れたカイノールはその特徴を生かして航空機のシート向け(不織布)が伸びており、同分野は欧州輸出の25%を占めるという。

 JX日鉱日石エネルギーもフランス子会社で毎回出展する。JX ニッポン ANCI SASの松岡正仁社長は「西欧だけでなく、東欧もある。欧州開拓の余地はある」と意気込む。今回はオレフィン積層メッシュ「ワリフ」(英文ブランド「claf」)、直交不織布「ミライフ」で新タイプを打ち出した。ワリフはポリエチレン製で、1平方メートル10グラム(従来16~18グラム)の低目付品を初披露。主力のジャガイモ用バッグに加え、欧州では遅れている手切れ性の良いテープへの展開を狙う。ミライフはマイクロファイバータイプ(平均3ミクロン)も打ち出した。従来品は繊維径10ミクロンでフィルター用として打ち出した。

 アキレスもテクテキスタイル常連の1社。窓用シートやソフトパーティション素材などが主力だが、今回展では高温下での低収縮フィルムや極低温でも耐えられる新フィルムを提案した。化成品事業部フィルム販売部海外マーケティング課の杉田奈保美主査は「円安により中国品から戻ってきた」と語るように、常連組も円安を追い風に輸出拡大への期待は大きい。