ニッポンの技、ここにあり/テクテキスタイル見聞録(5)/独自不織布もアピール

2015年06月01日 (月曜日)

 帝人グループのユニセル(山口県岩国市)。スパンボンド不織布(SB)とは全く異なる長繊維不織布を製造販売する。「国内で評価されている製品を提案し、欧州市場の開拓につなげる」(販売部の岩澤憲吾課長)ため「テクテキスタイル」へ初出展した。国内で実績ある製品とは包装材料向けのヒートシールタイプ、自動車のボンネット裏など吸音材向け難燃タイプだ。

 ユニセルは1975年に帝人が独自製法による合繊長繊維不織布の開発をスタート、80年に事業化したもの。85年にユニセルとして分社化した。バーストファイバー法、トウ開繊法、積層延展法を組み合わせた合繊長繊維不織布を製造販売するほか、メルトブロー不織布(MB)も事業化する。生産能力は年2000㌧。SBに比べると小規模だが、ヒートシール性、印刷性、成形追随性、高い吸油・保温性など様々な特徴を持つ。

 ユニセルのテクテキスタイル出展は、この独自不織布へ帝人が改めて力を入れようとしている表れ。しかも海外需要増を見込んで、タイ子会社のテイジン・ポリエステル〈タイランド〉(TPL)での生産を視野に入れ、年産200㌧ながら事業化調査を行っている。

 独自不織布という面では旭化成せんいも同様だが、今回展からブース構成を変更。環境・エネルギー(フィルター)、車・エレクトロニクス、ヘルスケアの3領域に分けて同社が有する先端材料をアピールした。その領域に合わせた不織布や不織布製品だけでなく、ナイロン66「レオナ」、スパンデックス「ロイカ」そしてポリケトン多孔膜なども提案していた。

 同社の欧州販売子会社である旭化成せんいイタリア(昨年10月1日付で旭化成せんいドイツと統合)は2014年度、前期比10%増収を達成したが、15年度も2けた%増収を見込む。

 同展を訪れた旭化成せんいの高梨利雄社長は「人工スエード『ラムース』、キュプラ繊維『ベンベルグ』に次ぐ柱をいかに作り上げるかがイタリアの課題」と述べ、SBなど各種不織布によるフィルター分野の開拓は課題の一つに挙げる。その考えはテクテキスタイルのブース構成にも表れていた。