ニッポンの技、ここにあり/テクテキスタイル見聞録(4)/構造改革後の説明も

2015年05月29日 (金曜日)

 テクテキスタイルでは毎回、日系企業最大ブースを構える帝人。そのブースが今回大きく変わった。これまではオランダのパラ系アラミド繊維製造子会社、テイジン・アラミド主体の出展で、帝人本体のポリエステル短繊維のスペースが小さかった。それが今回、ブースの約3分の1を占め、グループ全体の出展という印象を強めた。

 その帝人が打ち出したのはポリエステルナノファイバー「ナノフロント」、ショートカットファイバー「テピルス」、クッション材「エルク」、ポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」など。

 同社のポリエステル短繊維は2017年度末に徳山事業所(山口県周南市)での生産から撤退し、タイ子会社と松山事業所(愛媛県松山市)へ生産移管するなどの構造改革を明らかにしている。

 今回展では既存顧客に対し生産移管後の説明も行ったが、とくに輸出が40%を占め、その80%が欧州向けというテピルスに対して問い合わせが多かった。テピルスは、一部を松山事業所へ移管する以外は、タイ子会社のテイジン・ポリエステル〈タイランド〉(TPL)での生産に大半が変わる。新設備を導入し、さらなる増設も検討していることを来場者にはアピールしていた。

 一方、ナノフロントは松山事業所での生産継続が決まっているが、今回、糸わたでなく、テキスタイルと不織布という二次加工品の提案を行っていたのが特徴的。加工度を高めるという新たなビジネスモデルを構築するのが狙いだ。とくに不織布はフィルター用途に重点を置き、製品展開を視野に入れる。4月1日付で高機能繊維事業本部のエンジニアリングファイバー部にフィルターチームを新設したのもその一環になる。

 そのほか、エルクはタイ生産、ソロテックスは現在、OEM先を検討中だ。エルクはすでに50%を輸出が占める。その60~70%がブラジャーパッドを中心とする中国向け、欧州が30~40%。今後の海外の需要増を見込んでおり、タイへの生産移管で競争力を高める計画を組む。

 もう一つ特徴的だったのはグループの長繊維不織布製造子会社、ユニセルが初出展していた点だろう。