ニッポンの技、ここにあり/テクテキスタイル見聞録(2)/常連組ほど商談重視だが

2015年05月26日 (火曜日)

 「テクテキスタイル」は毎回、需要家とのミーティングに重点を置く企業が多い。このため展示品も少なく、テーブル、フリースペースを広く取るというスタイルが定着している。タイのインドラマと東洋紡が共同買収したナイロン66製造大手の独PHP、世界最大級の不織布メーカー、独フロイデンベルグなどの欧米企業はその典型。ブースは広く、派手な仕様で目立つが、出展品目は原糸、生地、不織布とその採用製品などのサンプルを展示する程度に過ぎない。

 日系企業も長年、出展する常連組の帝人やクラレなどはその傾向が強い。クラレの松尾信次繊維資材事業部長は「展示品は少ないが、並べるのが目的ではない。商いを拡大するために出展している」と強調。飛び込みでの商談も含めて今回は200社近くの来場を目標に定めていた。もちろん、事前アポイントによる商談も数多い。

 4回目の出展となる旭化成せんいも商談を重視するため、今回、フリースペースに加えて個室を設けた。その面で出展回数を重ねるほど、テクテキスタイルへの出展は新規顧客開拓よりも、既存顧客との商談、ミーティングに軸足が移るようだ。

 一方で、今回は新規の顧客開拓重視に方向転換したのは東レ。萩原俊彦産業資材事業部長は「同展は総合的にアピールできる場でもある。新用途展開につなげたい」と話す。もちろん、事前アポイントによる商談も行うが、様々な産業資材用繊維・製品を展示し、マイクロファイバー事業部門も初参加して自動車内装材用「ウルトラスエード」、産業資材用「エクセーヌ」も提案した。

 新規開拓の姿勢が強い企業ほど、ところ狭しと製品を展示するが、それだけではない。来場者の足を止めるため、工夫も凝らす。例えば、出展2回目の合成皮革製造大手、加平(大阪府泉佐野市)は木製の長たんすに製品を並べて日本らしさをアピールしていた。

 こうした出展の狙いに違いはあるものの、やはり日本企業は何らかの新しい素材提案を行っている。このあたりは、商談・ミーティングを前面に押し出す欧米企業と完全に同調しているわけではない。継続して出展する日系企業も同様だ。