帝人「コードレ」極細繊維使い本格化
1999年02月25日 (木曜日)
帝人の人工皮革「コードレ」はこれまでシューズ、ボールなどスポーツ用途が六五%を占め、レギュラー糸使いの比率が圧倒的に高かった。スポーツシューズ用途は九七年前半まで絶好調だったが、世界的にもブームが沈静化、需給失調に陥ったため苦戦が続いた。昨年夏から新素材開発努力などが奏効し一定の回復基調にはあるが「一つの用途への依存度が高いと安定収益を確保しにくい」(坂下信雄コードレ事業部長)と、衣料、家具など非スポーツ分野の開拓に力を入れる。
衣料用ではナイロンマイクロファイバー使いの「メアジュ」が欧州市場で軌道に乗りつつある。ドイツ、スペインなどに月間数万メートル規模で成約が入り始めている。
同じ欧州市場では需要増加が続く家具用に、初めてのポリエステルマイクロファイバー使いの商品開発を進めてきたが、そのメドがつき、来年度から帝人商事と組みドイツ、北欧などで販売活動をスタートさせる。
非スポーツでは将来構想として「テイジンエヴォルテ」が展開することになったイタリアブランド「トラサルディ」のバッグなどへの供給も視野に入れている。
こうした新規分野の開拓に注力する一方、スポーツシューズなど既存主力分野でも「レギュラー糸使いの定番品では韓国品などの追い上げが強まる」(同)とみて、マイクロファイバー使いの新商品開発をテコに巻き返しを図る。すでにカンガルー皮の代替として発売した新素材がナイキのサッカーシューズに採用されている。中空率五〇%で軽量性に優れた新素材も昨年末から市場に投入した。
「コードレ」は三原事業所(広島県)でレギュラー品、子会社のコードレ化成(島根県)で差別化品と生産を住み分けている。近年は販売戦略を踏まえてコードレ化成の能力増が目立ち、両工場合わせた年産能力は千二百四十万メートル。マイクロファイバー使いは今のところ数十万平方メートルだが、これを思い切って増やす方針であり、二〇%弱のスエードタイプ比率も将来は銀面タイプと半々にする構想だ。