TOYOSHIMA & CO.,LTD 豊島東京本社 製品部隊/雑貨含め独自提案で新成長を
2013年09月25日 (水曜日)
ここにきての経済環境の激変で、繊維衣料ビジネスは新たな局面を迎えている。モノ作り面では円安などコストアップ要因がさらに増え、その一方で消費面では不透明感が引き続き市場に漂っている。そういった中で売り上げ拡大には、モノ自体とともに仕掛けなどを含めたコト発信による差別化がポイントになってくる。ここでは専門商社豊島の製品部隊の動きを追った――。
豊島東京本社の製品部隊(3部・10部・11部・14部・15部・16部・17部)は先月、「製品合同展」を開き、14年春夏対応製品を提案した。前回展から独自解釈による提案を前面に押し出すことで次代に向けた新たな方向性を示しているが、今回はその内容を更に進化させ、モノにとどまらず多彩なコト発信による差別化対応を強化した。さらに併設展として同社としては初の雑貨展を行った。
「OEMビジネスは受け身型だが、その中で消費者起点の提案型による発信で新たな境地を開拓していきたい。そのためには“今”の対応に加え、明日明後日に向けた提案・対応を仕掛けていかないと市場からの支持は得られない」(松田敏彦東京本社東京三部部長)とし、強みとする素材からの提案はもとより、モノを取り巻くコト提案を含めた展開が新たな扉を開くことになる。今回展はその具体化の一環となる。
合同展では子供のいる共稼ぎ夫婦やキャリア女性などをイメージしながらテースト別に5ブースを設置。ナチュラル、グランジ、モード、フェミニンなどの要素を盛り込んだオリジナル企画を多種多彩に発信。加えて戦略素材ブースでは吸水速乾、消臭、UVカットといった多彩な機能素材を原料部隊との協業で提案したほか、テンセル素材や26色展開のラミー素材などを打ち出した。さらに異業種企業や学生と協業した仕掛けを提案する「コトLABO」ブースを新たに設置。学生がデザインしたオーガニックコットンTシャツによる人気投票の実施やサクラクレパスと取り組んだ商品企画などを披露した。
新提案の雑貨展(名古屋8部、東京8部・11部・14部・15部・17部)は、新たな成長戦略の第1歩となる。狙いは製品ビジネスの収益基盤の強化。既に各部では雑貨を取り扱っているが、今回は雑貨に特化してバッグ、シューズを中心に約400型を集積した。そのほとんどをオリジナルで企画し、 ファッション衣料で打ち出すテーストに連動させる形で来春夏向けのトレンドを取り入れたものをバリエーション豊富に打ち出した。
これらの提案発信の前提には「モノ作りにおいて基本的なことをしっかりと遂行していくこと」がある。つまりコストパフォーマンスの高度化として加速させているアセアン生産において、ビジネスの精度を高めることが何より重要となる。コストダウンを実現しても、納期や品質に問題が生じては意味がない。「一つひとつの案件を、常にきめ細かく丁寧に対応し続けることしかない。全社的にそれを意識していくことで、体質が強化されていく」としている。