繊維・未来塾/営業マンの競争心を学ぶ/クラボウインター釜谷氏が講演

2013年08月27日 (火曜日)

 日本繊維機械学会繊維産業活性化委員会が運営する次世代の繊維産業人材育成事業「繊維・未来塾」の第6回講座が大阪市内で24日、開かれた。今回はクラボウインターナショナルの釜谷昌宏最高顧問(元社長)を講師に招き、「クラボウ人生 “工”から“商”へ」と題して講演会を開いた。

 釜谷氏は、クラボウ在籍時から長年に渡ってテキスタイル輸出の最前線に立った経験を紹介。とくにポリエステル綿混織物「KT4000」で中東市場を席けんするに至る戦略・戦術の実際を報告した。中東市場における集散地であったドバイ市場を抑えることでインドやパキスタン、イラン、アフガニスタンといった中東市場全域への販売が可能になった経緯などを裏話も交えながら紹介した。

 そのほかにもインドネシア子会社、クマテックス社長として円借り入れによる為替リスクヘッジに取り組んだことや内販中心から対日も含む輸出戦略によって事業構造を大きく変化させたことなどを振り返った。そのほか、クラボウテキスタイル(現クラボウインターナショナル)社長としてテキスタイル問屋から製品OEMメーカーへの転換を進めたことなどを紹介した。

 クラボウの中でも“異色の営業マン”として鳴らした釜谷氏。一見、型破りに見えながらも、営業マンとしての競争心、向上心、好奇心の赴くままに自己の主張を押し通す姿勢に塾生も大いに学ぶところがあったようだ。

阿江ハンカチと東亜ニット/塾生が新規事業の進捗を紹介

 繊維・未来塾では、塾生による企業紹介として阿江ハンカチーフ(兵庫県加東市)と東亜ニット(大阪府松原市)がプレゼンテーションを行った。阿江ハンカチーフの阿江克彦社長と、東亜ニットの熊谷大輔社長が壇上に立ち、自社の事業内容や今後の方向性を参加者に向けて発信した。

 阿江社長は、播州織産地の機業である自社がハンカチ製造への特化に至った経緯や、タオルハンカチの台頭で苦戦を強いられている現状を紹介しながら、新規事業として取り組む日傘やストールの可能性について言及。5年前からスタートした日傘事業は自社ブランド「ルミエーブル」として展開、展示会出展による卸販売先の開拓やネット販売の積極化などによって、売り上げ全体に占める同事業の割合は15%にまで拡大しているという。

 熊谷社長は(1)スタッフ自慢(2)開発と企画(3)今後――の3点について説明。自身を含めて総勢11人のスタッフが効率よく動くために多能工化を進めており、その推進のために月に1度の有給休暇取得を促している点や、顧客のニーズ、反応を見ながら徐々に企画の精度を上げ、進化させていくことの大切さを説いた。

 さらに、今後は新規事業としてストールの開発、販売に力を入れていくと強調した。