夏季総合【1】反転攻勢 各社の重点戦略を探る/三菱レイヨン/独自、差異化を追求/ポートフォリオ転換で
2013年07月22日 (月曜日)
三菱レイヨンはアクリル繊維、子会社の三菱レイヨン・テキスタイル(MTX)によるトリアセテート長繊維「ソアロン」使いテキスタイルとも、ポートフォリオ転換による収益改善を目指す。
前3月期、同社の繊維事業は売上高415億円(4・3%減)も営業利益3億1300万円(78・2%減)と2けた%の減益となった。アクリル繊維は上期の苦戦が響き減益、MTXは主力の米国輸出が円高や需要家の素材転換で落ち込み、営業損益は若干ながら赤字だったが、13年度はともに反転に転じる。
アクリル繊維は独自性、差異化素材や川下への提案を強化することでポートフォリオ転換、増収増益を目指す。独自性、差異化素材では「ミヤビ」(極細)や「コアブリッドB」(導電性・光発熱)、「キュートリー」(消臭)を拡大する。大竹研究所(広島県大竹市)での新素材の開発にも注力する。全販売量の数%にとどまる資材にも力を入れる。今年6月、ドイツ・フランクフルトで開催された世界最大の産業用繊維・不織布見本市「テクテキスタイル」にも初出展した。
MTXは11年3月にソアロンとジアセテート長繊維「リンダ」の原糸工場を統合、生産能力を年産6000トンに縮小したが、基本戦略は同設備をフル生産しながら収益性を高めること。そのために同社も開発品を投入しポートフォリオ転換を進める。
13年は芯部に低結晶性セルロース、鞘部にアセテートを配した特殊構造糸とポリエステル長繊維との複合織物「キスト」を開発している。
同社は売上高の6割超が輸出だが、昨年末来の円安を背景に13年度は輸出全体では前年度比15%増収を計画する。前3月期苦戦した米国輸出も新顧客開拓などで成果を上げつつあり、11年度の水準まで戻すほか、パリ「プルミエール・ヴィジョン」出展の効果も含めて堅調に推移する欧州輸出で、2けた%増収も狙う。国内販売も若干増を計画する。