産資・不織布最前線・テクテキスタイル報告(4)想定外の展示内容も

2013年06月24日 (月曜日)

 帝人はオランダのアラミド製造子会社、テイジン・アラミド主体による出展のため、商談重視のブース構成だが、共同出展した帝人の高機能繊維事業本部は日本で開発したアラミド不織布、PTT繊維「ソロテックス」(米デュポン「ソロナ」とのダブルブランドで提案)、クッション材「エルク」などで、原料ではなく加工品を中心に新商品を持ち込んだ。

 アラミド不織布は、メタ系アラミド繊維によるナノファイバー不織布。海外では初披露となる。ショートカットファイバーによる極薄の湿式不織布ではさらに加工度を高めて、ニッケルメッキを施した導電シートを提案。「同展でもサンプル要望があった」(エンジニアリングファイバー部の堀之内新一郎スペシャルティペーパー課長)。湿式不織布ではPEN(ポリエチレンナフタレート)製も展示した。

 全くの新商品ではグループで独自の長繊維不織布製造子会社、ユニセルによる熱接着シート(110℃)を持ち込んだ。2メートル幅での熱接着シートは少なく、自動車内装材の張り合わせなどに狙いを定める。

 長繊維染色大手の小松精練は、想定外の新商品を打ち出した。2度目のテクテキスタイルとなる同社だが、前回は屋上緑化用などの超微多孔発泡セラミックス基盤「グリーンビズ」をメーンとしていたが、今回は熱可塑性炭素繊維複合材料を全面に展示し、ロッド、プリプレグシートによる製品やメッシュを出品。炭素繊維複合材料の開発では米国と並ぶ先進国である欧州企業の評価を探った。

 炭素繊維複合材料は石川県の補助金も得て、金沢工業大学との共同で「3~4年前から開発を進めていた」(林豊研究開発部長代理兼DIMAグループ長兼先端材料グループ長)もの。形を変えやすい熱可塑性樹脂を使用しているため、バネのような形状の製品などを展示し「来場者も面白い素材として関心を示していた」と言う。

 東レはバイオ素材「エコディア」からポリ乳酸(PLA)繊維などを提案した。佐々木康次繊維グリーンイノベーション室長は「部分バイオではなく、完全バイオはいつ出せるのかという問い合わせが多い」と環境意識の高い欧州ならではの反応があった。