商社の針路・繊維の海の航海術/伊藤忠商事(2)ファッションアパレル第一部門/顧客に合わせたODM力

2013年05月23日 (木曜日)

 伊藤忠商事繊維カンパニーのファッションアパレル(FA)第一部門はアパレルOEM機能を担う。FA第一部、FA第二部がファッション衣料のほか、インナー、ユニフォームなどすべての衣料品を供給する。販路も百貨店向けをはじめ、セレクトショップを中心とした伸張する業態への提案も広がる。SPA、量販店、通販向けも含め全方位に対応する。

 連結経営の強化が繊維カンパニー全体の方針であり、事業会社の収益も着実に増えている。同部門は繊維カンパニー全体の約3割の収益を占める。

 M&A、取り組み先の選択と集中を進めるなかで、三景、ユニコ、伊藤忠モードパルといった事業パートナーだけでなく有力な顧客も含め、収益性の高い取り組み関係を構築したことが、同部門の強みとなっている。

 様々なニーズに対応する素材、生産背景をグローバルにそろえ、顧客に合わせたODM提案力を高めたことも特徴。川下を志向し、モノ作りの各段階で付加価値を高める仕組みを構築してきた。

 素材面では、同社が資本参加する中国の繊維企業集団、山東如意科技集団(如意)をビッグパートナーと位置づける。如意の素材を提案し、同部門の生産背景で製品まで仕上げる形で提携している。

 FA第一部門が主管となる如意との協力関係は、繊維カンパニーの各部門より人材が出向し、原料素材の供給やブランド事業の提案などを行う全体的な取り組みだ。

 生産背景でもネットワークを拡充している。2012年(1~12月)の実績は、中国とその他アジア諸国の生産比率が65%と35%になったほか、英国ブラムホープが持つカンボジアやインドの拠点、ヤンガー傘下のスマートシャツのベトナム、フィリピン拠点を活用する動きも進んだ。

 これらの背景を基盤に「今後は攻めの段階に入る」と久保洋三ファッションアパレル第一部門長は語る。年明けからレリアン、ジャヴァグループといったアパレル事業会社の業績が好転しており、国内の衣料品消費に期待感がある。アジアや欧米など海外市場でも、素材やブランド、マーケティングなど様々な側面で高い価値を付けるモノ作りを提案し顧客、パートナーとともに勝ち抜く。