ズームイン/帝人エンジニアリングファイバー部長に就いた・坂田忠史氏/国内外で様々な経験

2013年05月17日 (金曜日)

 衣料、非衣料の営業からスタッフ、さらに香港や米国会社などの海外駐在もこなしたオールラウンダー。大学まではバレーボール部で鳴らしたバリバリの体育会系だが、イメージとは異なり、「家庭菜園が趣味」と言う。

 入社後に配属されたテキスタイル輸出部ではプラザ合意直後ながらマイクロファイバー使いの高密度織物がスキーなど向けに採用が始まった時代。高採算で「いけいけドンドンだった」と振り返る。その後の中東民族衣装向け輸出担当を得て、帝人香港に赴任。当時、南通帝人が表地生産を始めたころ。その販売窓口として設立直後の帝人香港で、欧米や日本向け商流作りに取り組む。

 体制が整いつつあった1998年には欧米販売の担当者として、テイジン・アメリカ・インコーポレーテッドに出向する。半年後には顧客に近い地区の事務所開設の要望が通り「アシスタント2人と快適な仕事ができた」らしい。そんな坂田さんに予想外の辞令。2002年、安居祥策会長、長島徹社長体制の秘書室への異動だ。状況は一変。「できない。会社を辞めよう」と当初は思ったと語る。

 秘書室を挟み、担当はガラリと変わる。それがカーシート地。06年1月に担当となるが、時は帝人加工糸の火災直後。「2週間後には自動車生産がストップする」ほどの厳しい状況下で、供給責任を果たすために奔走し、加工場はじめ様々な企業の協力によって乗り切った。

 その後も毎年トラブルに見舞われるが「帝人加工糸火災の経験が11年に起こったタイ洪水被害も乗り切ることにつながった」。

 4月1日付で、湿式不織布用ショートカットファイバーを中心とするスペシャルティペーパー課、メタ系アラミド繊維「コーネックス」や衛材、自動車吸音材など向けポリエステル短繊維のノンウーブン課、パラ系アラミド繊維「トワロン」パルプを扱うフリクション・シール課から成るエンジニアリングファイバー部長に就いた。

 トワロンを除き「原料売りに加えて加工度を高める」のが基本方針の一つ。その面で産業資材に強い帝人フロンティアとは「あらゆる面で密接に連携していく」と語る。

さかた・ただし

 1986年帝人入社、2007年帝人ファイバー長繊維資材販売部長、09年機能製品グループ長、12年10月帝人高機能繊維事業本部機能製品部長、13年4月からエンジニアリングファイバー部長。広島県出身。49歳。