東洋紡STCの原糸販売/“紡績”の存在感出す/複合紡績技術で開拓
2013年03月19日 (火曜日)
東洋紡スペシャルティズトレーディング(東洋紡STC)の原糸販売グループは富山事業所で培ってきた長短複合紡績技術などを生かし“紡績・素材メーカー”としての存在感を前面に打ち出してきた。ここにきて新たな用途・販路の開拓が進みつつある。今後も引き続き技術プロモーションなども強化して業容の拡大を進める方針だ。
東洋紡STCの原糸販売は従来、大手インナーアパレルへ販売が売上高の大半を占めていたが、2011年から原糸販売グループをインナー事業部から繊維事業総括部に移管し、事業部の枠を超えて幅広い分野への拡販を進める戦略を推進してきた。「スポーツ・インナーで蓄積してきた技術を原糸で幅広く発信する」(原糸販売グループ)ことを狙う。
こうしたなか、様々な成果が上がりつつある。例えば海島綿種とピマ綿種の交配種綿花を使用した高級綿糸「マスターシード」は、従来の主力用途だったインナーだけでなく、最近では靴下、パンツ地、シャツ地などに採用が広がっており、新たに今治産地のタオルでも採用が決まった。そのほか長短複合紡績技術を応用した機能糸も大手量販店などで採用が増えるなど「素材が活躍できる場面が増えている」。
同グループでは、得意の複合紡績技術を応用した素材開発と提案を引き続き進める。原綿改質による積極的な機能化と同時に、他社の機能原綿も積極的に活用する。例えば14春夏では、三菱レイヨンのアクリル・ジアセテート複合短繊維「キュートリー」と東洋紡STCの消臭機能素材「デオドランC」を複合することで、汗臭だけでなく加齢臭の原因物質であるノネナールの消臭にも対応した「キューティデオ」を開発・提案した。
「東洋紡STCが国内に2カ工場(富山事業所の入善工場と井波工場)を擁する“紡績・素材メーカー”であることを市場にアピールすることが原糸販売グループの役割」とし、技術プロモーションにも力を入れる。紡績設備紹介や機能性を実証する実験などを用いた商品プロモーションで「最終製品につながるストーリー性を提供する」ことにも力を入れる。「衣服内気候」研究に代表される機能性評価技術も重点的に活用する。