産資・不織布・最新情報/テクテキスタイル見聞録(3)日本素材の評価を探る

2011年06月08日 (水曜日)

 テクテキスタイルでは欧州市場開拓に初挑戦する日系企業も目立った。小松精練は産業資材の直接輸出はわずか数%に過ぎないが「ファッション衣料だけでなく、産業資材でも世界へ展開したい。そのための反響を探る」(山竹俊樹取締役常務執行役員)として、テクテキスタイルに初出展した。

 メーンに打ち出したのは、超微多孔発泡セラミックス基盤「グリーンビズ」。屋上緑化、壁面用、さらにブロックなども提案した。グリーンビズを使ったブロックは保水性があるため、雨水をため込み、ヒートアイランド現象を抑制する効果を発揮する。ブースでは実験器具を置き、その効果を目に見えるように工夫を凝らした。そのほか、有機EL素子などの封止に使う密着充填型レジン、ポリイミドフィルムなどを使った電磁波吸収シートなど、同社の取材で普段目にすることの少ない商品が並んだ。

 同じく初出展である重布加工の平岡織染(東京都台東区)は「競合企業が多い欧州を開拓するにはまず社名を売り込む必要がある」(榎本祥泰海外営業課長)と判断し、テクテキスタイル出展を決めた。欧州向け輸出がほとんどない中で、競合企業との違いを出すため、20年保証の遮熱膜材や10年保証の高透光膜材など「当社の技術を全面に打ち出した」が、予想以上に立ち止まって、ブースを訪れる来場者があり、社名を売るという所期の目標に手応えを感じたようだ。

 前回(2009年)に続く2度目の出展となる萩原工業(岡山県倉敷市)は、今回、合成樹脂事業のライブイン事業部が主体となって出展。オレフィン系のフラットヤーンを使った粘着テープ基布と製品などを展示した。スフ糸などと違い、軽くて溶剤などにも強いのがフラットヤーン使い粘着テープの特徴。様々な用途に使えることから、展示会でも珍しがられたという。國定佳孝ライブイン事業部長は「欧州だけでなく、輸出はまだまだ少ない。今後は中国、アジア市場も開拓していきたい」と話す。

 フェノール繊維「カイノール」を製造販売する群栄化学(群馬県高崎市)は、独子会社のカイノール・ヨーロッパとして出展。常連組の1社で、原綿、紡績糸から製品までを並べた。カイノールは年産600トンの生産能力を持つ。現在、輸出が3分の1を占め、欧米だけでなく、ロシア、東欧、南米、中国、東南アジアにも市場が広がりつつある。日本では活性炭素繊維の原料として知られるが、海外では耐熱防護服用や摩擦材向けなどに使われることが多い。

 ただ、100%だけでは「コストも含めて市場に合致しない部分があるので、混紡品を増やしていきたい。そのためには川下に近い情報が必要」(事業開発本部の谷岡俊哉開発センター長)として、テクテキスタイルには継続出展している。