東レ香港/中国内販拡大に本腰/生産拠点の拡充も加速
2011年03月09日 (水曜日)
【香港=吉田武史】東レ香港(THK)は今期(11年1月~)、縫製品とテキスタイルで中国内販の拡大に取り組むとともに、珠海の全額出資子会社THKアパレルの機能強化やベトナム、バングラデシュ縫製の増強などで生産拠点の拡充を図る。
1月に成都、3月に武漢と相次いで連絡事務所を設置。同じく3月には広州の東麗広州商業貿易の中に縫製品内販の組織を置いた。また、基幹工場であるTHKアパレルには技術の継承、ノウハウの蓄積を狙って縫製技術室を設置した。これらはすべて、縫製品の中国内販拡大のための措置だ。
テキスタイルでは、マレーシアのペンファブリックの高品質カジュアル素材を主力と位置付け、ルートを構築する。一体となった素材開発を展開し、内販の際は、FTA、EPAの効果を狙う。
生産拠点の拡充も大きな課題。以前から福利厚生に力を入れてきたこともあって、1900人を抱えるTHKアパレルでは今年の旧正月明けにもほぼ100%の工員が戻ってきた。機械も増強しており、基幹工場としての運営に変化はない。一方、リスク回避の観点からベトナム、バングラデシュ縫製にも引き続き力を入れる。中国生産を維持しながら、現状の中国7割、ベトナム・バンクラデシュ3割という構成を、将来的には5対5に持っていく意向だ。
東レ香港/高機能インナーけん引/12月期は増収増益
東レ香港の10年12月期は全社ベースで前期比、計画比とも増収増益だった。奥富勝副董事長によると、繊維事業の中ではとくに縫製品が好調で、テキスタイルとファイバーは売り上げが計画比トントンも、利益面ではテキスタイルが増益だったのに対し、ファイバーは原料高騰で苦戦を強いられた。
縫製品は主力の高機能インナーウエアが拡大。2年前にコンピュータ生産管理システムを導入した効果も発現し、ロスの削減に寄与した。
テキスタイルは対米ドレスシャツ地としてのポリエステル・綿混織物が全体をけん引した一方で、カジュアル用途やスポーツ用途は苦戦した。この立て直し策として、昨年10月から組織体制をドレスシャツ、レディスカジュアル、スポーツ、資材という用途別に改編し、ユーザーに対するきめ細かな対応を狙うとともに、中国内販グループも設置した。
ファイバーはポリエステルとナイロンが主力だが、コスト上昇で減益となった。今後は不織布用のポリエステルわたやリサイクルわたなどで新規開拓に臨みながら、縫製品事業との連携強化も図っていく。
今期第1四半期はいずれの事業も売り上げ、利益とも計画並みで推移している。