帝人ファイバー/特許を譲受しPTT繊維継続/ソロテックスでエコ戦略加速

2010年12月15日 (水曜日)

 帝人ファイバーは、PTT繊維「ソロテックス」の事業を継続することを決めた。PTT繊維に関する製造特許権を旭化成せんいとソロテックスから譲受し、以前と同様のスペックで展開する。原料はデュポンとの間で安定供給・購買に関する契約を交わした。

 「ソロテックス」の商標を引き継ぎ、PTT繊維を展開していく。短繊維は現在、ストックしていたシェルのポリマーを使って徳山工場で生産を継続しているが、今後はデュポンのポリマーに切り替えていく。また、長繊維は昨年12月に旭化成せんいと帝人ファイバーの合弁会社、ソロテックスが営業を終了した時点で糸の供給を止めているが、海外でのOEM生産で来年1月から供給を再開する予定だ。

 PTT繊維は、ストレッチ性や形状安定性など機能性を生かして、ポリエステル事業との相乗効果が見込めると判断した。また、「新しい繊維なのでこのマーケットを広げたい」(福島敏秀帝人ポリエステル繊維事業グループアパレル事業統轄)という。今後は市場拡大のためのデュポンとの共同マーケティングも視野に入れる。

 また、帝人グループが推進するエコ戦略を加速させる狙いがある。旧ソロテックス社が使っていたシェルの原料とは異なり、デュポンのポリマーはとうもろこし由来のPDOを使っており、PTT繊維にするとバイオマス比率が36%になる。ポリエステルの循環型リサイクルシステム「エコサークル」、バイオポリエステルなどに「ソロテックス」を加えることで、環境配慮型商品を拡充できる。とくにバイオマス原料への要望が高い産業資材分野での拡大を狙うほか、衣料用途でもユニフォームなどへ展開していく。

 ソロテックス社は02年5月に旭化成せんいと帝人ファイバーの合弁で設立したが、09年7月に解散を発表し、09年12月で営業を終了していた。これにともない、旭化成せんいはPTT繊維からの撤退を発表したが、帝人ファイバーは独自に事業を継続することを検討していた。