アジアの繊維産業と検査機関

2010年03月25日 (木曜日)

 アパレル不況はデフレを伴って深刻さを増す。しかし、市場をアジアに拡大すれば、悲観するばかりではない。注目の中国内販の拡大は、繊維の検査機関の仕事量にも比例しており、日・アセアン包括的経済連携協定の発効がアセアンにスポットライトを当てる。

カケン/11拠点で海外業務/中国内販拡大の影響も

 日本化学繊維検査協会(カケン)は海外業務で、海外支所と提携機関を合わせ、香港、中国、韓国、台湾、インドネシア、タイ、ベトナムに11の拠点を持つ。

 とくに中国の上海科懇検験服務では、07年の「CNAS(中国が国家基準として与える試験室認定)」に続き、08年には、「CMA(中国内販試験検査機関の資格認定書)」を取得。日系検査機関単独で、中国で取得しうる資格認定を受けてきた。

 リーマンショック以降、中国内需が注目を集めている。「中国内販を狙ってGB規格(中国国家標準)の問い合わせが増えてきた」(カケン)というのもうなづける。

 そうした中国ニーズに応じる形で、上海科懇は昨年約1500平方メートルの増床を行った。単体の事務所としてはこの上海科懇が最大規模。

 業容拡大の背景には日本向けの業務が拡大していることに加え、中国内販向けの検査が増加したことが大きい。

 チャイナプラスワンの代表格のベトナム。そのベトナムの試験室はこの2月に移転した。ホーチミン市中心部から車で約30分のカトライ工業団地にBVCPS VIETNAM試験室を移転。製品・素材の試験業務、検査・検品業務(全数検品は桑原ベトナムと業務提携)を行う。

QTEC/バングラデシュに進出/深ロレの雑貨も順調

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)の海外事業所は、韓国の日韓品質評価センター、中国には上海、青島、無錫、深せんに試験センターがある。これに加えて、バングラデシュでは今春新たに「QTECダッカラボ」が稼働する。

 「バングラデシュは新たな繊維産地として注目を集める。試験室は首都ダッカのシルバータワーにあり、日本の商社も近くに多い」(QTEC)という。日本人は2人、ナショナルスタッフは13人という体制でスタートする。

 業務はアパレル製品・繊維服飾雑貨品の試験と検査。製品検査、耐洗濯性、染色堅ろう度、物性試験、分析試験などを行う。

 中国では「工場審査や出張検査が増えている」とも。工場の管理状況や技術レベルを審査したり、工場に出張して初期検査や指導にあたるというものだ。

 また、07年1月に開設した深せん試験センターでは、アパレル製品のほか、生活用品(靴、カバンなど)の試験・検査も行う。深せんへの日本の検査機関の進出は初めてだったが、「衣料だけでなく、カバンや靴などのファッション雑貨の生産も盛ん。順調に拡大している」と、日本市場向けの雑貨にも注力する。