秋季総合特集4・変わるモノ作り/製造業支える検査機関
2009年11月19日 (木曜日)
品質安定や向上のためには、品質そのものを証明する検査機関の存在が不可欠だ。日本のモノ作りの一翼を彼らが支えている。その検査機関も支援内容を拡充するなど変化し始めている。
ボーケン/4つのパワーで支援
ボーケン(日本紡績検査協会)はコミュニケーション力、技術開発力、アドバイス力、グローバル力という「4つのパワー」(吉田泰教近畿事業所長)によるユーザー支援に取り組む。
コミュニケーション力は企業の人材育成や定期的に開催する「ボーケン展示会」、技術情報誌、メルマガの発行など。技術開発力は機能素材など、新しく開発された素材に対する試験装置や評価法の開発、アドバイス力とは様々な生産トラブル回避をサポート。そして、グローバル力は海外9拠点による中国を中心とした対応力になる。
ボーケンが目指すのは品質試験、検査に加えてモノ作り全体をサポートできる体制。その構築に動き始めており、自社での人材育成など対応力の強化を図る方針だ。
Qテック/総合試験センターを開設
日本繊維製品品質技術センター(Qテック)は6月、それまで墨田とTFTの2カ所に分散していた試験センターを港区芝浦に集約して「東京総合試験センター」を開設した。
同センターは、人形町の本館にある試験センターとは機能で使い分けている。総合試験センターは、近年試験の要望増が著しい吸汗速乾や吸湿発熱など機能性試験や、アゾ系染料の有無など成分分析が主力だ。カサや靴などの生活用品、産業資材のラボも総合試験センターに設けている。
また、本館は隣接するビルに別館を5月に設け、事務機能を別館へ移して、本館は試験ラボ機能に特化させた。
一方、中国での事業は、華南から華北への動きが加速。品質試験の依頼数も華南でやや減少し、青島での検査数が伸張している。
日本化学繊維検査協会/国内外の品質サポート
日本化学繊維検査協会(カケン)は、繊維の原材料から製品まで、国内外で一貫した検査を実施するほか、近年の店舗展開で増加するバッグや靴の皮革製品に対応するなど、様々な試験・検査体制を確立している。
スタートから20年が経過した海外業務では、海外支所と提携機関を合わせ、香港、中国、韓国、台湾、インドネシア、タイ、ベトナムに11の拠点を持つ。とくに中国の上海科懇検験服務では、2007年に「CNAS(中国が国家基準として与える試験室認定)」に続き、08年、「CMA(中国内販試験検査機関の資格認定書)」を取得。日系検査機関単独で、中国で取得しうる資格認定を受けてきた。
また、品質管理の重要性を知ってもらおうと、国内外で講演会やセミナーなどを実施。今後も啓発活動に力を注ぐ方針だ。