クラレリビング/ナノコートの導電繊維

2009年06月19日 (金曜日)

 【フランクフルト=西田貴夫】クラレリビング(大阪市北区)は、茶久染色(愛知県一宮市)、松文産業(福井県勝山市)、北海道大学と共同によりカーボンナノチューブを繊維にコーティングした高性能導電繊維を開発した。16~18日、ドイツ・フランクフルトで開催された産業用繊維・不織布専門見本市「テクテキスタイル」のクラレブースで初披露した。2010年からの本格展開を目指す。

 この導電繊維は原糸供給、織布が松文産業、茶久染色がコーティング加工、クラレリビングが販売する体制を敷く。「平成20年度地域イノベーション創出研究開発事業」(経済産業省)に採択されたもので、茶久染色はこの助成金で、専用の試験設備(年産10トン)を導入した。茶久染色の蜂谷雅明開発部長兼技術部課長は「目指すは電線代替」と意欲を見せ、クラレリビングの秋庭英治研究開発部長は「JR北海道の水タンク凍結防止用として採用され、効果を上げている。導電性は金属並みであり、薄くて軽いのが特徴」と語る。

 原糸はポリエステルのほか、クラレの高強力ポリアリレート繊維「べクトラン」。さらにナイロンでも可能で、茶久染色の蜂谷部長によると「マルチフィラメント使いはほかにはない。比重は電線の6分の1で、ぜひ電線代替にまで育成したい」と意気込む。同繊維の開発には2年を掛けている。現在、織物では技術確立しているが、ニットは現在開発中。