10秋冬スポーツ素材/防風ニットの開発進む

2009年06月15日 (月曜日)

 素材メーカーの10秋冬向けスポーツ素材展が行われている。健康志向でスポーツへの関心は高まるが、個人消費は急激に冷え込んできた。そうした中で、素材メーカーは機能性を打ち出して、反転攻勢を図る。吸湿発熱タイプのほか、防風透湿ニットの提案も多い。軽量・薄地化もひとつのポイントになる。

保温機能に手法様々

 東レは防風透湿ニット「アクトウィンド」を開発した。薄手のニット地に特殊コーティング・ラミネート加工を施し、ニットの持つストレッチ性やソフトな風合いを損なうことなく、防風性に優れた軽量でコンパクトな防風透湿ニットだ。アスレチック、アウトドア、ゴルフなどが用途である。

 同社は「織物による防風透湿素材はムレ感が残る。これをニットで解決する」と期待。ラミネート加工を施したものは、ダウンウエアの製品で展開する。

 東洋紡スペシャルティズトレーディング(STC)は、「デッドエアー アウェー」を新商品として投入した。カレンダー加工により低通気性を有し、光沢感や洗濯耐久性にも優れる。そして何よりの特徴は薄地であること。「以前の防風ニットは高捲縮や高収縮の糸を使ったが、かさ高になった。薄くて保温性の高いニットとして開発した」という。“薄く軽く”というファッション素材トレンドにも通じるところがある。

 展示会では屋外でのスポーツカジュアル分野をイメージしたが、「使い方はあくまで提案であり、アパレルの声を生かして本番に臨む」考えだ。

 セーレンは防風・防水ニットコーティング素材「アミシェルター」を開発。同社の透湿防水コーティング技術をニット素材に応用したもので、スムース、ワッフル、ベロアなどで提案する。優れた防風性と小雨程度では濡れない防水性を有する。「従来のラミネーション方式の防風素材より軽量化が図れる」という。コーティング皮膜で外気の通過を防ぎ、保温効果も備える。

 防風ではないが、生地にデッドエアー構造を作り、保温性を高めるタイプも提案された。

 旭化成せんいの吸湿発熱ウオーム素材「モイステックス ホット」は、ベンベルグを活用した吸湿発熱素材。吸放湿性、吸水速乾性、ベタつき防止性を保ちながら、ウオーム感をプラスした複合保温素材だ。生地を多層構造にし、デッドエアーを装備することで、吸湿発熱で得た熱を逃がさず保温性を増している。

 ユニチカファイバーは、蓄熱保温性が特徴の「サーモトロン」シリーズを拡充。新たに吸湿発熱効果を併せ持つ「サーモトロンX」(仮称)を発表した。太陽光を吸収し、その光エネルギーを熱に変換する機能に加え、人体から放出される水蒸気や汗を吸収して熱に変換する。太陽光を浴びる屋外でも、雨天時の屋内でも優れた保温性を発揮するというものだ。