ダイワボウレーヨン/多機能「コンフォーレ」/高吸湿・消臭・染色性増す
2009年03月30日 (月曜日)
ダイワボウレーヨンは、高吸放湿性や消臭性、カチオン染色性など多様な機能性を持ったレーヨン「コンフォーレ」を開発した。1キロ約700円での販売を想定、インナーや靴下などの用途開拓を進め、初年度1億円、3年後には3億円の売上高を目指す。
コンフォーレはレーヨンにカルボキシル基を含む重合体を持った特殊な機能材を練りこむことで高機能レーヨンの開発に成功した。繊度は1・4デシテックス×38ミリメートル(ブライト)での量産が可能で、梳毛用の51ミリメートルの生産もできる。見た目はほとんどレギュラーレーヨンと変わらない。
レーヨンの優れた吸湿性を強化するとともに、放湿性も付与、吸放湿機能をΔMR(吸放湿パラメーター)で評価した場合、レギュラーレーヨンが7・5に対し、コンフォーレが8・6と「専門家でもかなり優れた数値だと指摘する」(岡本彬社長)レベルだという。基本物性はレギュラーレーヨンとほとんど変わらず、練り込みタイプであることから洗濯後の効果も持続する。
アンモニア、酢酸、ホルムアルデヒドによる消臭試験でも効果を発揮。「消臭が難しい」といわれるイソ吉草酸も、ガス濃度が40ppmの場合、2時間後で10ppm以下の吸着性能を示す。
これまでレーヨンはカチオン染色をすることができず、レーヨン・アクリルの複合素材では反応染色とカチオン染色の二浴染色をしなければいけなかった。コンフォーレは検証中であるものの「レーヨンとしては世界で初めて」カチオン染料で染めることができる。
コンフォーレ20%・アクリル80%混ニットをアクリル100%ニットと比較した場合、耐光堅ろう度は同程度の4級を維持、染色洗濯堅ろう度や染色摩擦堅ろう度も同レベルの評価を示す。洗濯10回であれば吸放湿性能は全く落ちず、加工安定性も高い。pHコントロールの機能も持ち、経口毒性(LD50値)や変異原性といった安全性の面でも問題はない。
「快適性」をコンセプトに、秋冬向けのインナー用途などでサンプルを出荷、来年の店頭販売を目指し、数社で取り組みが進む。国内だけでなく、中国をはじめとしたアジア地域での販売拡大も狙う。