フランドル/“3本の矢”で日本発を提案/海外SPAブランドに対抗
2009年02月05日 (木曜日)
フランドルの親会社であるイネドビジネスファッションプランニング(IBF、東京都渋谷区 栗田貴史社長)は3月1日付で、帝人ファイバー、NI帝人商事、住金物産と、香港のニット製品製造のフェニックス・ホンコン(FHK)との合弁で、新会社イッツインターナショナル(東京都渋谷区 栗田英俊社長)を設立。SPA事業に本格的に進出する。(一部既報)
「『H&M』『ザラ』といった海外の大型SPAブランドに対抗できる最強のバリューチェーンの構築」(栗田社長)を明言しており、日本の大手アパレルとしては初めて、“黒船”に立ち向う意思を示した。新SPA会社を立ち上げる背景には、フランドルが主販路とする百貨店販路の落ち込みが顕著なことがある。「消費者が衣料品を買う場所が多様化しており、ファッションアパレルとして様々なマーケットに対応する必要に迫られていた」と栗田社長は話す。
2010年3月に東京・原宿に旗艦大型店を開業するのを皮切りに、2014年までに130店舗(大型店5店舗、小・中型店125店舗)を出店。初年度は売上高15億円、14年度200億円を目指す。レディースとメンズの商品を展開し、販路は「住み分けが明確でなくなってきている」ことから、様々な販路への出店を予定する。また、海外での展開も視野に入れており、ニットの製造を手掛けるフェニックス・ホンコンが、東南アジア進出をサポート。「日本での地位を確立した後は、中国、韓国を中心とした東南アジア市場に進出する」方針だ。
新SPA業態(ブランド名は未決定)は、「上質・値頃感・安心感・環境対応」をキーワードに、日本の強みである「繊細さ・丁寧さ・真面目さ」を商品に反映。「優れた技術を持つ3社と組むことで、互いの持つ強みを最大限発揮し、既存のSPAブランドにない価格と品質と感度を併せ持った商品を消費者に提供する」(栗田社長)
帝人ファイバーは高感度素材、高機能素材、環境対応素材を武器に、素材のグローバル開発、生産体制の構築を担当。NI帝人商事は、海外縫製拠点を中心としたグローバルオペレーションを駆使し、上質な製品を適正価格で提供する役割を担う。帝人ファイバーの唐澤佳長社長は「栗田社長の素材に対する知識、情熱に、取引を通じて感銘を受けた。新会社専門の対応組織を作り、全力で対応し、合繊の分野で市場の要求に応えたい」とコメントした。
住金物産は、素材のグローバル調達力と国内外の縫製拠点網を生かし、商品を供給する役割を担う。江口恒明取締役専務執行役員は「良質な商品をベストな単価で提供するという難しい課題への挑戦だが、弊社のOEM機能の底上げにも繋がる。“3本の矢”として力を合わせ、新しいものを消費者に提案したい」と話す。
「日本の意地を見せたい」と力強く話す栗田社長。今後の動向に注目が集まる。