東洋紡/スーパー繊維の輸出拡大/用途の広がりにも期待
2008年12月12日 (金曜日)
東洋紡のスーパー繊維事業部は海外市場の開拓に力を入れている。同社は高強力ポリエチレン繊維「ダイニーマ」「ツヌーガ」、PBO繊維「ザイロン」の3素材を製造販売しているが、合わせて4~5割が輸出。ダイニーマは製造合弁先のオランダ・DSMダイニーマとの契約もあり、原糸輸出は出来ないが、加工品としての間接輸出は可能で、全体の35%が海外向け。作業用手袋では中国、韓国、釣り糸は北米向けと言う。
国内は大型タンカーなどの係留索(ホーサー)、ネット、釣り糸、作業用手袋、FRP(繊維補強プラスチック)、FRC(繊維補強セメント)など土木建築資材など幅広く展開するが、「海外も含めて用途はまだまだ広がる」(佐野茂樹機能マテリアル事業総括部長兼スーパー繊維事業部長)と期待を示す。
同社はDSMダイニーマとの製造合弁である日本ダイニーマ(大阪市北区)で今年初めにダイニーマの生産能力を年産600トン増の1600トンに増強。2010年1月、同年7月には1系列ずつ増設し、倍増の3200トンに拡大する。世界経済が低迷するなかで「10、11月も当初計画通りで、現在のところ通期業績に影響は出ていない」と言う。
同じ高強力ポリエチレン繊維だが、独自開発で溶融紡糸による「ツヌーガ」はダイニーマに比べ強度は劣るものの、耐切創性は同等。ダイニーマのように輸出制限もないことから、手袋用を主力に全世界に販売する意向で、これから本格展開。輸出比率は40~50%を想定する。
ザイロンは現在、消防服、耐熱フェルト、ゴム資材の3大用途に加え、細かい用途開拓を進める。輸出比率は最も高く65%だ。中国、欧米向けが主力で、海外展にも積極的に出展している。今年10月には「中国国際産業用紡織品・不織布展覧会(CINTEチャイナ)に出展したが、09年6月の独テクテキスタイルにも出展する予定だ。
ザイロンは固定費削減を実行し「あと2割販売量が増えれば、収益トントンまで持ち込める」状態。その2割を引き上げるため、耐熱性を生かせる用途を中心に内外で用途開拓を進める。