08秋季総合特集(1)検査機関 品質の“価値”裏付け

2008年10月28日 (火曜日)

 ファッションの素材や製品の品質における“価値”を裏づける検査機関の役割は大きい。相次ぐ食品の偽装表示や有害物質混入問題などを背景に、衣料品やファッショングッズでも、表示や安全性への関心が高まっている。検査機関では各種試験や検査を通して、業界と消費者を信頼でつなぐ価値を提供している。

カケン/国内の試験・検査体制拡充

 12月に創立60周年を迎える日本化学繊維検査協会(カケン)は、この1、2年で国内における試験・検査業務体制を拡充してきた。原宿、堀留、神戸―各ラボラトリーの移転や体制強化をはじめ、大阪事業所の大幅増床などを実施した。

 約7割を占める主力の繊維製品では、納入前試験・検査のほか、試験機器の整備などで多様な機能性評価に対応。抗菌防臭試験などの生物関係試験、ホルマリンや重金属など有害物質の分析試験、輸出品に対応する外国規格試験など、ユーザーからの信頼は厚い。

 「繊維製品関連でも偽装表示や安全に関する問い合わせが多い。公益法人として、繊維業界と消費者双方の満足を高める品質管理評価のサポート体制をいっそう強化する」考えだ。服飾・生活雑貨や産業資材などの評価でも実績を重ねている。マスクの花粉捕集効率試験の確立をはじめ、現在は獣毛のDNA分析について研究中だ。

QTEC/服飾・生活用品で依頼増加

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)では、靴やカバン、傘、カーテン、寝具といった服飾雑貨や生活用品の試験・検査依頼が増えている。

 東京の産業資材・生活用品試験センターでは主に中国から輸入された雑貨、自動車のエアバッグも扱う福井試験センターではカーテンの防炎性能試験を中心としたインテリア用品、名古屋の中部事業所では羽毛布団などの寝具類を主体に、性能評価試験や外観評価検査を行っている。昨春開設した西部センターのクリーンルームも好評だ。

 ここにきて、減少傾向にあった衣料品の外観検査が伸びてきた。汚れや破れのチェックといった基本的なことだが、「安心・安全への関心の高まりに伴い、アパレルが今まで以上に厳格に信頼確保に努めている表れだろう。よりいっそう公正・厳格・迅速にあたる」。

ニッセンケン/繊維製品の安全を保証

 日本染色検査協会(ニッセンケン)は、日本唯一のエコテックス認証機関であることを生かし、今後いっそう、繊維製品の環境・安全対応に努める。

 「エコテックス規格100」は、エコテックス国際共同体が定義する“繊維製品に含まれる人体の健康を害する物質(重金属類や発がん性物質、アレルギー誘発性物質など)”が使われていないことを、100項目以上の検査で分析し安全性を保証するという国際安全規格だ。

 当初は欧米輸出向けの商品で同認証を取得する傾向があったが、食品などの安心・安全への懸念が高まるとともに、昨年来、国内市場向けの商品でも取得する動きが活発化している。07年は前年比3倍強も伸びた。

 最近では、中国でも環境や安全対応の商品が増えてきた。これを受け、中国においてもエコテックス規格100の普及活動を促進している。