ファッションビジネスの流れ変わる“eコマース”加え進化/「アパレルソリューションフェア」
2008年08月20日 (水曜日)
東レACS/「クレアコンポ」に新機能
全日本婦人子供服工業組合連合会主催の第8回「08アパレルソリューションフェア」が、26、27日に東京のTOC有明で開催される。今回は「アパレルeコマース」ゾーンを新設し、ネットやモバイルを活用したファッションサイトの構築や運営などに関する分野の拡充を図った。CADや生産・情報管理から、RFID(無線タグ)やeコマースまで、最新のソリューション提案を紹介する。
東レACSの「クレアコンポ」がさらなる進化を遂げている。次世代3Dパターンチェック「ネクサマジック」の精度向上をはじめ、マーキングソフト「マーカーマジック」のオプション「オートアドバンス」、縫製仕様書作成システム「サイフォームマジック」から派生した「サイフォームバインダー」「同エクスプレス」などを新開発した。
進化したネクサマジックは、型紙データを各社各ブランドに合わせた3Dボディデータに加工してパターンの情報付けを行うだけでなく、3次元で縫い合わせ、トワールチェック(厚手・標準・薄手の3種類を用意)に近い状態でシミュレーションする。
縦・横断面の形状や透き間情報によるゆとりチェック、無重力と重力負荷の各状態で立体による着付け形状によるデザインとの整合性も確認できる。施行している型紙データから複数の立体シミュレーション結果を並べての比較検討も可能だ。
「オートアドバンス」は、自社開発で高性能低価格を実現した自動マーキングソフト。マーカー収集と条件をリクエストするだけで、熟練マーカー者にも劣らない歩留まりを実現する。またパーツごとのブロック作成や未配置ゾーン指定などにより、作業漏れ防止や特定部位の回避にも役立つ。
レクトラ・ジャパン/会場でソリューション実演
レクトラ・ジャパンは同社が販売する各種ソリューションソフトを中心に提案、さらにソフトのデモンストレーションを含めた使い方の講習会を開く。
会場でデモンストレーションを行うのは「オプティプラン」「モダリス」「カレド」の3種。
「オプティプラン」は縫製品の裁断オーダーに対し、最適なマーキング、延反方法を導き出し、生地要尺とコストを提示するソフト。「モダリス」はパターン作成とグレーディングを行うためのソフトで、アパレルでの導入事例も多い。「カレド」は商品マップ、企画書などの書類作成のためのソフト。アパレル関連の書類作成に特化されているのが特徴で、書類の一部の変更だけで、関係する項目すべてに反映されるなど企画業務をスムーズに行える。
当日は、これら3つのソリューションの実演を各15分ずつ行う。ブース番号は16。
トヨシマビジネスシステム/情報管理システムに焦点
トヨシマビジネスシステムは今回、これまで紹介してきた企画のデザインシステム「4Dボックス」に代わり、総合アパレル情報システム「アパレル・ゾーン3」とテキスタイル生産管理・販売管理システム「テキスタイル・ゾーン」を大々的に提案する。
アパレル・ゾーンは、企画から生産・出荷・売掛管理まで、アパレルの基幹業務を総合的にサポートする。最新バージョンのアパレル・ゾーン3では、ウェブ対応を実現した。既存の1、2は希望するユーザーごとにウェブ対応の環境をカスタマイズしていた。手間がかかるうえ運用上の制限もあったが、3は柔軟性に富む。7月下旬には東京でもアパレル・ゾーン3の個展を初開催し、東京市場開拓を本格化させた。販売管理や受発注管理をベースに、企画生産管理や店頭管理、展示会管理、仕入れ管理、仕掛かり管理など幅広く網羅しており、3年後、5年後を見すえた業務の在り方を、ユーザーとともに構築していく。
旭化成AGMS/「QB」の最新バージョン
旭化成AGMSは、アパレルデータ管理システムの最新バージョン「AGMS QB4・0」をメーンに、「AGMS CAD」ではミューラー理論をベースにした3次元グレーディングなどを打ち出す。
QB4・0は、生地管理ソフトの使い勝手を向上させた。従来は仕様書の1品番ごとに処理対応していたが、最新版では1つの画面で複数品番のまとめ処理を実現している。素材や柄、アイテムなどのキーワードでグルーピングしたうえで処理するため、スピードアップが図れる。
レディースやユニフォームなどのアパレルを主体に、帽子や傘などの服飾雑貨でもユーザーを広げている。
顧客に応じてWEB対応も推進し、国内外の生産拠点とのデータの送受信、裁断や縫製など進ちょく状況の確認を容易にする。
開発推進中のミューラー方式による立体グレーディングは、今秋をめどに発売の見通しだ。この春から東京や名古屋、大阪、福岡などでデモンストレーションを展開してきたが、来場者の期待度は高く好感触をつかんだ。
CADから情報管理までトータルな提案力を軸に、迅速かつ効率的に、売れ筋を見極め在庫レスで追加生産できる体制の構築・運営をサポートしていく。
島精機製作所/一気通貫のモノ作り支援
島精機製作所はパターンメーキングからグレーディング、マーキングまで、ソフトを切り替えることなく簡単に操作が行えるアパレルCADシステム「SDS―ONE」と、その上位機種「SDS―ONE APEX」を出展する。
SDS―ONEは「オール・イン・ワン」をコンセプトとし、企画・デザインから生産・流通間でのワークフローを支援するアパレルデザインワークステーション。パターンメーキンググレーディング・マーキング、テキスタイルのシミュレーション・配色検討、プリントデザインの作成、販売促進用ツールの制作など、デザインから販売までのモノ作りに必要なワークフローすべてを密接にリンクさせ、一気通貫のモノ作りを実現する。
一方の自動裁断機、P―CAMはデータ転送することで、スムーズに裁断が行える。ニット業界だけでなく、テキスタイル、刺繍、プリントなどアパレル関連の工程全般で威力を発揮する。
アイティフォー/繊維に最適パッケージ販売
システムインテグレーターのアイティフォー(東京都千代田区)は、ECサイト構築パッケージ「アイティフォレック2・0インフィニティー」を出展する。
同商品は「繊維・ファッションにこだわった仕様」(野口恭弘執行役員eコマースシステム事業部長)と語るように、アパレル製品の販売に適したパッケージだ。すでにスニーカー通販のヒラキやインナーショップの白鳩のネットサイトで導入が決定するなど「リアル店舗に一歩近付いたECサイト」の構築が可能だ。
特徴は・商品画像のズーム機能・ECサイトの同時運営・分析対応――など。商品の縫い目や質感まで確認することのできるズーム機能は、返品率の低減を促す。
また、会員向けに特設会場を同時開設することによって、通常サイトで定価販売を維持しながら、セール会場で在庫商品の一掃に向けた取り組みも行うことができる。さらに、ECサイトショッピングで展開する「お気に入り機能」を強化。付せん機能の使用により、購入希望者は在庫やマークダウン状況を確認することができるほか、運営サイドは売れ筋商品の分析や価格改定の意思決定にも活用することができる。
「ITならではの売り方を取組先と追求していきたい」と野口事業部長。価格は一式2500万円から。今後もファッション業界や百貨店に向けた展開を加速する意向だ。
ゆめみ/モバイルECで高評価
2000年に設立されたゆめみは、設立当初からモバイルeコマースに焦点を当て、ソリューション事業、プロダクト事業、メディア事業を柱に、携帯サイトを中心とする企画・開発・運営を手掛けてきた。
これまで、日本最大級のケータイメルマガ発行スタンド「Sweetマガジン」やケータイ向け女性ECサイト「SweetShopping」、ビジネスアプリケーション「サイボウズ ガルーン2ケータイ」などを開発し、いずれも好調に推移している。
今回はプロダクト事業のeコマース・ソリューション「マーキュリー」を紹介する。短期間かつ低価格で“3キャリア携帯+PC”の本格ショッピングサイトを実現するというもので、1つの管理画面で携帯とPCを一元管理、絵文字対応とデコメールの活用などユーザビリティーが高い。モールと単店舗の2タイプで“売れる携帯ECサイト”を提案する。
マイティカード/RFIDでSCM可視化
マイティカードは、RFID(無線識別タグ)の技術を活用したアパレル業界のSCMの可視化を推進し、後方業務の効率化、売り上げ向上のソリューションを提供している。通信距離が長く通信速度が速いUHF帯RFIDによるソリューションをメーンに紹介する。
RFIDは一括読み取りや壁などの遮蔽物越しの読み取りに優れ、入出荷検品や棚卸しなどの作業時間や人手の削減にも貢献する。これにより、店頭ではコア業務の接客・販売に集中することができる。
バーコードでは“あるはず”というレベルだが、個品単位でタグを付けることにより、商品が店頭とバッグヤードのどちらにあるのかリアルタイムで把握し、在庫を探し回る時間の短縮が可能。
また、読み取りリーダー付き什器では、商品の置き間違いや補充指示も瞬時に判明する。これらにより顧客満足度を高める。
富士通/グループ総合力を訴求
富士通は、富士通エフ・アイ・ピー(富士通FIP)と共同で、基幹システムパッケージ「クレメンティア」やASPサービス、次世代EDI、ギフトカード、最新モバイル端末などを総合的に提案している。
次世代EDI対応の「コラボエージェント」は富士通が事業主体となり、富士通FIPが運用してきた。ネットワークソリューションに定評がある。
また、流通BMS(流通ビジネスメッセージ標準)に対応した富士通FIPの量販店業界での実績を、百貨店業界にも生かしていく考えだ。
ファッションビジネスも、従来の個別最適から全体最適へ向かう過渡期である今、グループ内のサービスやソリューションを有機的かつ効率的に連携させ、ユーザーであるアパレルや小売業が、コア業務の企画・販売に専念できるように、ITソリューションを超えたビジネスソリューションの提供に努める。
伊藤忠テクノソリューションズ/生産からECまで幅広く
伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は出展者で唯一、「CAD・生産・情報管理」と今回新設された「eコマース」の両ゾーンにブースを構え、アパレル製品の開発から販売までトータルなソリューションを提供する。
設計・製造部門をサポートするシステムでは、3D装着シミュレーションの「Vスティッチャー」を参考出品する。
3次元パターンにデザインフリーでラインを引き、再び2次元パターンに置き換えることで精細なパターンを実現。生地特性も加味される。
昨春のアパレル推進チーム発足(現、繊維・アパレル営業課に統合)以来、注力してきたeコマースでは、集客・購入率アップを図るレコメンデーション機能、リピート購買につなげるCRMによる顧客分析をメーンに打ち出す。