染色加工場を支える染料・薬剤、機器システム

2008年02月15日 (金曜日)

三木理研工業/形態安定加工用の樹脂開発

 加工剤製造販売の三木理研工業(和歌山市)は、綿の形態安定加工の一つであるモイストキュアー加工向けに専用の樹脂、触媒を開発、販売している。

 日本の染色加工場でモイストキュアー加工を採用する工場は極めて少ないため、まずは中国の加工場への試験販売から開始しているが、将来は日本国内に同加工を定着させることで、自社の樹脂、触媒の販売拡大につなげたい意向だ。

 モイストキュアー加工は他の手法と比べて、非常に手間がかかることもあって「日本の染色加工場でこの手法を採用するところはないに等しい」(中川和城専務)。同加工の欠点は変色の危険性が高いことや強度低下など。

 同社はこの欠点を改善するために開発を続け、昨年春に専用の樹脂、触媒の商品化に成功した。現在は商社を通じて、中国の工場で実験を重ねている段階だが、将来的には商社、紡績、染工場などとの取り組みによりモイストキュアー加工の採用を広め、樹脂、触媒の拡販を図っていく考え。

長瀬カラーケミカル/環境・安全を重視

 長瀬カラーケミカル(大阪市西区)は「環境・安全をキーワード」(山崎保弘社長)とした製品開発を進める方針だ。

 染色加工場の小ロット化・高機能化に対応した差別化製品供給を基本としながら、開発テーマにエコを据える。

 すでにポリ乳酸(PLA)繊維用染料である「DENAPLA」の開発に取り組んでいるが、機能剤では自動車資材でのVOC(揮発性有機溶剤)規制に対応した消臭・抗菌・防炎などの機能剤に期待する。

 またナノテクノロジーを駆使し、超微粒化亜鉛により消臭・抗菌・紫外線カットなど多機能を持つ「デナシス」、即効性の強い鉄イオンによる消臭剤「エフニカ」など、機能性付与でも天然成分を使用した材料に力を入れる。

 これらは同社の自社ブランド品であり、メーカー的な能力も求められるとして、国際的な品質管理システム「ISO9001」認証にも取り組んでいる。

 なお、4月からグループ企業のナガセケミカル(東京都中央区)の繊維加工部が移管される。

クラボウ/染色機内の数値化実現

 クラボウ・エレクトロニクス事業部は液流染色機の染液を数値化し、染色状態をモニタリングできる機器を開発した。

 自社の染色加工拠点である徳島工場(徳島県阿南市)での実証実験も完了し、一部試験販売を始めている。今まで熟練技術者の勘に頼っていた部分を数値化することで、品質を安定化させるというものだ。

 同事業部では原燃料高騰により染色加工場の製造コストが上昇するなかで、コスト削減につながる機器、システムの提案を活発化する。染液の数値化はその一つになる。

 また染色加工場が高付加価値化できる新たなビジネスモデルも訴求する。例えば、インクジェット捺染では、実用機としての本格化に期待する一方で、インクジェット捺染機だけでは「ビジネスにならない」(藤尚情報システム営業部長)と指摘。

 前工程、後工程まで含めた形でのシステムを提案する。ブランドや販路なども含めて顧客と共同で新たなビジネスを作り上げる戦略を採る。

日阪製作所/液流新機種「AR」発売

 日阪製作所はカーシート地用液流染色機の新機種「AR」を開発、発売した。設置面積などは従来機と同様だが、投入量は1・5倍というもの。同社の代表機種であるMRとの共通部品を活用し、リーズナブルな価格を実現している。こうした標準機の開発に加え、染色加工場と連携を深め、各社ごとに独自性がある染色機開発にも力を入れる。

 「ソリューションビジネスを行うことで次のターゲットが見えてくる」(染色仕上機器営業部の竹下好和課長)として、広く前後工程や染料・薬剤まで含めて営業担当者のスキルアップにも取り組む。

 さらに染色加工場で熟練オペレーターの減少が指摘されるなかで、染色機の微調整を行うシステム「エディクス」を4月から販売する予定だ。どのオペレーターが作業しても、染色ぶれを解消して再加工を減らすことができる。

 また、設計開発課からサービス業務を独立させて、需要家へのきめ細かいフォローを行う意向だ。