東洋紡・津村社長が表明/近未来は4ドメインで

2000年07月25日 (火曜日)

 東洋紡の津村準二社長は、このほど発行された社内報七月号で、今下期内での赤字事業解消を最重点課題とした当面の計画がほぼ順調に推移していることを明らかにするとともに、近未来の事業展開について(1)繊維(2)フィルム(3)機能性高分子製品(4)バイオ関連――の4ドメインによる「高機能製品メーカー」を目指す考えを示した。

 「全社を黒字事業の塊」にするために、(1)生産・販売・開発機能を事業部に集中させ、社内カンパニー的に運営する(2)事業部ごとにROA(使用資産経常利益率)経営を重視する(3)設備投資は事業部のキャッシュフローを勘案して立案する――などの施策を実行してきた。

 その結果、九九年度上期には赤字事業に使用されていた資産の三割近くが、同下期には黒字事業用へ転換。今上期には赤字の中心は二、三の事業に絞り込まれており、対策を決め、ほぼ見通しもついてきたという。

 4ドメインによる「高機能製品メーカー」という構想を実現するために、まず生化学事業部と敦賀バイオ研究所で「バイオ特別プロジェクト」をスタート。三~五年後の事業化を目指す。

 続いてフィルムや機能材分野でもプロジェクトを立ち上げる予定で、繊維も産業資材など先行して浮上している事業では非繊維同様の手法で新規事業開拓を進める考えである。

 また津村社長は経営組織について、執行役員制は導入せず「同一主体(事業部長)によって、計画と実行を一元的にフレキシブルに運営する現在の組織体制を続ける」と言明。繊維事業は「全事業黒字化を前提に、社内カンパニー的な一体運営を志向する」と分社化を否定した。