市況展望 輸出用アクリルわた/減産強化で値上げ優先
2000年05月01日 (月曜日)
アクリルわたの輸出平均価格は、粗原料であるアクリロニトリル(AN)の高騰を背景に、この一年間で約二五%上昇したが、ANは二倍以上になっており、円高もあってメーカーの採算は悪化している。三菱レイヨンなどアクリル大手は四月から減産率を一〇~一五%へ強化し、値上げに全力を挙げる構えだ。
指標となる中国向け混紡用定番品は現状、一キロ一・四五ドル(CIF)前後。ANのスポット価格が一トン九百ドルを超える水準では、一キロ一・六ドルが最低ラインと言われているが、中国の国内生産の増加やユーロ安による欧州品の攻勢もあり価格交渉は難航している。供給調整で値上げ最優先という姿勢は韓台勢も一致しており、冬物の需要期となる七~九月に向けての交渉が注目される。
輸出数量は、イラン、インドネシアなど中国以外が増加しており、全体でも堅調に推移している。