最新カジュアル情報/豊島・高塚東京三部部長
2000年02月03日 (木曜日)
フリースの話題で終始した今秋冬カジュアル市場。商況の厳しさに加えて、暖冬要素が売れ筋に影響を与えた。供給サイドには新潮流に対しての質的変化が求められており、次世紀での生き残りに向けての模索が続く。最新カジュアル事情について、豊島東京本社東京三部の高塚俊英部長に話を聞いた。
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--昨今のカジュアルシーンをどうみる。
「ユニクロ」の話が出ないことはない。あれだけの売り上げの伸び、株価に反映されている現状をみれば、当然のことだろう。もし「ユニクロ」がなかったら、フリースもあれほどヒットしなかった。マーケットにおいて「ユニクロ」を見て、競合他社の多くは改めて自分の位置付けをはっきり感じたと思う。
--というと。
規模の大小に関係なく、自分たちがやっていること(存在価値)がちゃんとマーケットの中で訴求できているのかどうかということ。八百万枚作っているフリースと二万枚のそれとは、同じ千九百円なら絶対に質は八百万枚の方がいい。「量は質を決める」。表面的にまねても勝てない。
売り上げの大きい企業はちょっと無理するところが出てくる。中規模で、自分のスタンスをキープしているところはいい。つまり自分のポリシーを変えなかったところだ。コンセプトをきっちり把握し、市場の売れ筋に付和雷同しない売り場は荒れていない。そして評価も高い。
―市場での自らの役割を把握していないと、存在自体が必要でなくなってくる。
例えばシステム上、物流の遅れはつくづく感じる。これまでは倉庫業でよかったが、これからはこの機能・管理がポイントになる。生産は依然チラシに間に合わないことがあるし、まだまだ精度を高めていく必要がある。ただ、生産管理・物流機能分野では控えているプレーヤーが一杯いる。
だからこそ企画力を併せ持っていないと負けてしまうし、利益も確保できない。システムで他より負けているところがあっても、それですべてが決まらないのが繊維業界。つまりスタンダードが長続きしない業界だからこそ、企画力がものをいう。価格が高くても、買いたくなるような何かがあればいい。
今の時代、自分の存在価値、役割を見いだせなかったら、ヒト、モノ、カネは飛び越えていく。そのため当社としても物流にメスを入れるとともに、改めて企画力を高めていきたい。〝創る〟装置がないと生き残れない。
―現商戦の総括および春夏への見通しは。
今秋冬商戦はフリースが全体的によかった。裏毛タイプのカットソーも動いた。暖冬という要因もあって、従来型の冬物、いわゆる防寒着とされる商品が低調だった。
春に向けては、裏毛シリーズは引き続き堅調だろうし、期待はデニム系だ。ワンウォッシュタイプで、濃い目のブルー。それもストレッチは安定した人気を保っていくだろう。