スパンデックスメーカーの戦略/東洋紡
2000年01月25日 (火曜日)
東洋紡は年産三千五百トンだったスパンデックス「エスパ」(乾式)の増設工事を完了させ、昨年十一月から五千五百トンでフル生産に入るとともに、溶融タイプの「エスパM」も増設し、六月には二百トンにする。さらに三年以内に両タイプを合わせ七千トン(うち溶融四百トン)にする構想だ。
二宮徹エスパ・ナイロン事業部長によると、こうした量的拡大と並行して、このほど開発した高耐久糸「T-765」(乾式)など差別化品比率を高める方向である。「T-765」は(1)耐黄変性(2)対脆化性(3)耐伸縮疲労性(4)染色耐久性(5)透明性-に優れており、とりわけポリエステルとの相性が良い。「エスパM」は低温セットが可能なため、ナイロンはもちろん、アクリル(系)、ウール、プロミックス、綿などとの複合に適している。
これらの差別化原糸を活用して「総合素材メーカーが展開する『エスパ』事業らしく、用途開発に力点を置く」ことを戦略に据える。
増設直後は、一時的に輸出比率が増えるものの、中長期的には為替変動リスクを回避するため、国内・輸出半々という今上期の比率を維持する方針。用途的には織物用での需要増を見込む。生地売り比率は今上期で約二五%だが、糸売りとのバランスもこれが適正だという。