帝人、ストレッチ新素材発売
1998年10月05日 (月曜日)
帝人は99/00秋冬向けから潜在捲縮型ポリエステル長繊維によるストレッチ素材「エスビロン」とそれをベースに梳毛調に仕立てた「エスペソ」をテキスタイルと原糸とで販売する。松山工場で既存設備を改良した専用ラインは月間50トン規模だが、「自信を持って送り出す新素材であり、一年内には三倍に増やす」(井沢延治常務)考えだ。
「エスビロン」は2種類の特殊ポリマーを使ったコンジュゲート糸で、伸縮性と回復性に優れ、熱セット性が通常のポリエステルと同レベルであることから、他のポリエステルやアセテートとの複合でも、ドレープ性とハリ・コシのある素材を作ることができる。また他素材の複合比率を下げることでスポーツやユニホームなどストレッチ機能がより重視される用途への対応も可能。
「エスペソ」は「エスビロン」を芯に、高深色糸を鞘にした特殊複合加工糸で、ストレッチ性のある梳毛調質感が得られる。
用途は「エスビロン」が婦人ブラウス・インナー・アウター・ボトム、紳士スーツ・スラックス、スポーツ、ユニホームなど。「エスペス」はブラックフォーマルを含む婦人アウター・ボトム、紳士スーツ・スラックス、ユニホームなど。二種類の原糸でシルキー調、ドライ&ドレープ調、レーヨン調、梳毛調などすべての風合いを持つストレッチ素材を展開できる。
糸種は「エスビロン」が100D・24f、「エスペソ」が190D・60fからスタートするが、順次増やす。生産設備は松山工場に約2億円をかけて既存設備を改造した。
価格は織物(ダブル幅、無地)がアパレル入り1メートル1,300~1,500、糸が1キロ1,100円前後。初シーズンはチョップ織物での販売が大半を占め、テキスタイル換算で3万反(「エスビロン」2万反、「エスペス」1万反)を見込むが、能力増に伴い原糸もルートセールスで増やす。
同社はこれまでストレッチ素材として、ポリエーテルエステル系弾性糸「レクセ」とポリエステルとの複合で「テビア」を販売していたが、高次加工が複雑になるなどの難点があった。テキスタイル市場でストレッチ素材が完全に定着した中で、ストレッチ性と風合い・外観を融合させた今回の新商品を打ち出し、シェア拡大を狙う。テキスタイル段階で「テビア」より300~500円安いというコストパフォーマスも生かして、名岐地区のアパレルへも攻勢をかける。