クラレ「べクトラン」/FRP向け本格化

2007年07月24日 (火曜日)

 クラレは高強力ポリアリレート繊維「ベクトラン」で、FRP(繊維補強プラスチック)用途の開拓に取り組む。昨年4月にはFRP開発チームを新設。評価機器も整備して様々な製品データを武器に、ビニロンも含めた形で、FRP提案を強化する。

 ベクトランは今年10月には400トン増の年産1000トン体制に増強するが、中期的には3000トン、そのためにもFRPの開拓は不可欠と見る。

 ベクトランは液晶ポリマーであるベクトラ樹脂を繊維化したポリアリレート(全芳香ポリエステル)繊維。高強力、高弾性が特徴で、1990年に年産400トン規模で事業化した。2005年、米国でベクトラン販売を担当していたCAMI社のベクトラン事業を買収したことで用途開拓を加速。能力を拡大し、現有の年産600トン設備はフル生産中にある。

 とくに、米国向けのロープ、ケーブルなど水を吸わない特徴が生きる用途が伸長している。また、FRPでも米国は先行しており、手応えを得ているという。

 FRP用はショートカットファイバーが主体となるが、パルプ(繊維をパルプ状にすりつぶしたもの)にも再挑戦する。パラ系アラミド繊維が圧倒的に強いパルプだが、合理的に生産できる手法があると判断した。

 その他、短繊維による紡績糸展開も再度、力を入れる。とくに作業手袋などは耐切創性の高さと漂白剤使用でも強度劣化しない特徴を生かしていく。