東レ/インドネシア引かない

2007年05月25日 (金曜日)

東南アジアで反転攻勢へ

 東レの榊原定征社長は24日、大阪で会見し、前期に不振となった東南アジアでの繊維事業、とくにインドネシア事業に関して「問題点は2006年で出尽くした。逆に次の展開へのチャンスであり、新しい事業をスタートさせることも検討している。インドネシアから手を引くようなことは、絶対にない」と断言、今期での黒字化に強い決意を示した。

 前期、同社の東南アジア繊維事業子会社は、全体で33億円の営業減益となり、とくにインドネシアで20億円の減益を余儀なくされた。原油高が収益を直撃したため、石油から石炭、天然ガスへの転換を進め、昨年12月にすべての工事が完了した。また、不採算品からの撤退と高付加価値品に生産品種の転換を進めるなど構造改善を実施するほか、「インドネシアは川中分野が疲弊していることから、輸出に特化した事業運営を進める」(杉本征宏専務)考えだ。

 榊原社長は「インドネシアは、当社が長年培った強い事業基盤のある国」と強調。これを生かして引き続き事業の拡大を目指す。

 また、同席した下村彬一副社長も「東南アジアが苦戦する要因は中国品の攻勢だが、人民元高や人件費高騰、増値税還付率の引き下げなど、中国の競争力に歯止めが掛かりつつある」としたうえで「しばらく我慢すれば、東南アジアは必ず復活する」と分析。08年にポリエステル綿混紡織のイースタンテックスで紡機4万5000錘を増設すると同時に、織布設備の増強も行うなど積極的な事業運営を行う。

 同じく苦戦が続く欧州子会社トーレ・テキスタイルズ・ヨーロッパは、メディカル用抗菌素材、メガブランド向けスポーツ素材、婦人服向け差別化品に生産品種を絞り込むと同時に、設備の削減で収益改善を進める。

ミシン1万台へ/縫製品・機能製品事業部門

 東レは、4月1日付で新設した縫製品・機能製品事業部門に関して、中国を中心に供給拠点の整備を進め「2010年ころにはミシン台数1万台体制を目指す」(杉本征宏専務)考えだ。SPA(製造小売業)、GMS(総合小売業)を中心に11社との取り組みを進めており、08春夏から具体的な縫製品での提案をスタートさせる。

 同社では、今回の部門新設を「東レとして縫製品を繊維事業のなかにしっかりと組み込む意志の表れ」と説明する。そのために、中国で縫製品供給拠点の整備を進めており、すでにマツオカコーポレーション、丸紅、伊藤忠商事などとの合弁も含めて5社の縫製品生産拠点を設けた。

 現在、ミシン台数は2000台強だが、これを2010年には1万台にまで拡大させる。